お寿司の味、おいしさを伝える表現・描写

鮮度のいいネタはぷりぷりしてかたい

いなり寿司は、力があって大胆でいかにも情が深いという味

アジは沼津港であがった、身が締まり甘みがある地物を使う

早ずしは、しめた魚の旨味とご飯がなれて、渾然一体となるところに妙味がある

このふな寿司、日本酒と素晴らしく合う

六月といえば梅雨の蒸し暑い頃だが、このマス寿司ならば食欲が出る

生臭さもなく、鰯の旨味と辛子とがよく溶け合ったおいしさは今も忘れられない

母はここの寿司が大好きで、みやげに一折もって帰ると、両目を細めてぺろりと食べてしまう

豪快な海のご馳走、かつおの手こね寿司

うちは、祭りの料理と言えば決まってちらし寿司

海苔に歯があたってパリッと破れ、次に飯があって干ぴょうに突き当たる。干ぴょう独特の縦繊維を葉で断ち切るとき、甘辛く煮しめた味が嬉しい。

湯葉に薄味が付いているので、鮨に醤油をつけないほうが絶妙な旨味を堪能できる

高菜のしゃきしゃき感とご飯の相性がいい

江戸前ずしの代名詞は何かと聞かれたらコハダと断言する職人は多い。瑞々しく輝くその姿は数ある寿司ダネの中でも特に美しい。

本式のすし桶でやると、底がひろびろしているので、御飯がいい塩梅にひろがる。それをまぜているうちにまわりの木に湯気を吸いとられてゆくから、ぱらっとした御飯になる。

赤身は乾きかけて、飯粒の上でかすかに反っている

（いなり寿司）味の染みこんだ油揚げに、甘く煮たにんじんやらしいたけやらを混ぜた酢飯を詰めた。きれいな俵型になるように、俺は作業に没頭した。

稲荷ずしに於ける油揚げは、おかずではなく一種の皮である。 　おにぎりに於けるノリと同じように、一種のパッケージともいえる。

江戸前の〔にぎり鮨〕が、はじめて創られたのは、文化七年（一八一〇）のことだそうな。本所の横網で初代・与兵衛が店をひらき、新鮮な魚介を即席のにぎり鮨にしたのが大評判をよび、これより保守的な押鮨は圧倒されて江戸から逃げ、その勢力範囲を京阪に局限された、などといわれている。

手巻きの鉄火をつけたのはよいが、親指ほどのふといまぐろが飯からはみ出し、きたならしいことおびただしい。

飯といっしょににぎる魚や貝がやたらに大きく厚く、飯がすくなくて、まるで刺身でも食べているような鮨

「ここのお鮨は、おみやげの折の中で、まだ濡れ濡れとしているねえ」

小判形に、にぎられて

口へ入れたとき、種と飯とが渾然一体となっている

にぎっている魚介と、あるじの手指が一つになって見えた。

それからみんな黙ってしまって、誰も手巻き寿司を食べなかった。たくさんのすし飯は乾燥してつやがなくなり、お刺身も色がくすみ始めていた。