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(筋肉ストレッチ)男の肩をしぼりあげた。最初はゆっくりと、それから真剣に力を込めて。男の身体が痛みを感じているのがわかった。それもかなりの痛みだ。どんな人間でもうめき声くらいは上げる。しかし男はまったく声を出さなかった。呼吸も乱れなかった。顔をしかめている様子もない。我慢強いのだ、と青豆は思った。どこまで相手が我慢できるか、青豆は試してみることにした。更に遠慮なく力を入れると、肩脚骨の関節がやがてごきっという鈍い音を立てた。線路のポイントが切り換えられるような手応えがあった。
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単語の意味
身体(しんたい)
身体・・・人のからだ。肉体。
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身体を揉みほぐすのは、込み入った計算式を解いていくようなものだ、と陣治は言う。よくはわからない。足裏や膝や肩や手指を、圧したり撫でたり 捻ったりするうちに、凝りそのものの中枢に自然と届いていく。その感触が、重積分だの偏微分だのなんだかんだを繰り返して膨れ上がった数式が、結局は電圧と電流と抵抗の三要素からなる、中学生でも知っている単純な公式に収束していく過程に、なぜか似ていると感じるのらしい。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(筋肉ストレッチ)彼女は男の全身の筋肉を手順に従って解きほぐしていった。すべてのポイントは彼女の頭の中のチェック・リストに記入されている。そのルートを機械的に、順序通りたどっていけばいいだけだ。夜中に懐中電灯を持ってビルを巡回する、有能な恐れを知らぬ警備員のように。
どの筋肉も多かれ少なかれ、詰まっていた。厳しい災害に襲われたあとの土地みたいだ。多くの水路が堰き止められ、堤が崩されている。《…略…》彼女はそれらの筋肉をひとつひとつ締め上げ、強制的に動かし、極限まで曲げたり伸ばしたりした。そのたびに関節が鈍い音を立てた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
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作家は着実に書き続けることによってしか成長しない。毛虫が葉っぱを食べるのを休まないのと同じだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
林芙美子 / 新版 放浪記
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