汗に溶ける白粉の匂い

甘ったるい香水の香り

襟の辺りに独特のいいにおい

花束のような香水

しゃれた香水の匂い

いい匂いのする花を嗅ぐように、隣席のその若夫人が身動く度にただようてくる甘い香水の香をうっとりと吸いながら映画を見ていた。

彼の体臭が目と鼻に飛び込むようににおう

課長は胃が悪いのでひどく口が匂う。出入業者に招待された宴会の翌朝など、まるでどぶからあがったばかりのような息をしていることがある。生温かく甘酸っぱい匂いだ。口だけでなく、手や首すじからもその匂いはにじみ出てくるようだ。

厚い下着の中で、皮膚が汗ばみ、垢のむれた臭いがたちはじめて

ニはスープ系の体臭、飛行機で出される油の浮いたコンソメスープと同じにおいがする。つねにだしが効いている。前世がおでんの具だったのかもしれない。お腹が空いているときにはいいかもしれないけれど、少なくとも抱きしめられたいとは思えない。

女の爪先は赤くマニキュアされていて、暗がりの中でも仄かに艶を放って見える

（化粧品売り場）新色の口紅が目にとまったり、かわいらしいアクセサリーに手が伸びたり、自分が女であることを認識させてくれる

薄化粧した上品な顔

落とし忘れた化粧が額で細く光っている

化粧は剥げきっておりマスカラが散り目のまわりはもろもろが油によって分離していた。