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(夜中に目が覚める)こういう状態で夜中に目が覚めた。それはまさに「状態」で、気づくともうそこにいるといったような感じなので、ひとことで表すことはできない。 ただ、何もなくなっているのだ。自分が、ただ宙に浮いている。理屈ではわかっているし、そういうつもりにはなれる。今がいつで、自分は眠る前何をしていたか。 でもどうにも遠い。感情も感覚もない。ただ空虚な空間に身を休めているのだけが実感できる。自分が三歳なのか、三十歳なのか、本当にわからない。今がいつで、寝る前どういう一日を送ったか。すべてが夢で、君はこれからうまれる赤ん坊なんだよ、と言われたらああそうか、そうなんだな、と思える。ただ静かで、むき出しで、白紙だ。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:44% 作品を確認(amazon)
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ぼんやり・朦朧・ボーっとする
寝起き・目が覚める
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前後の文章を含んだ引用
......。 私はしばらくただそうして目を開けていた。 きた、久しぶりにここにきた、と思った。 こういう状態におちいったのは久しぶりだった。頭を打って入院していたときよくこういう状態で夜中に目が覚めた。それはまさに「状態」で、気づくともうそこにいるといったような感じなので、ひとことで表すことはできない。 ただ、何もなくなっているのだ。自分が、ただ宙に浮いている。理屈ではわかっているし、そういうつもりにはなれる。今がいつで、自分は眠る前何をしていたか。 でもどうにも遠い。感情も感覚もない。ただ空虚な空間に身を休めているのだけが実感できる。自分が三歳なのか、三十歳なのか、本当にわからない。今がいつで、寝る前どういう一日を送ったか。すべてが夢で、君はこれからうまれる赤ん坊なんだよ、と言われたらああそうか、そうなんだな、と思える。ただ静かで、むき出しで、白紙だ。 私は、気が狂うのだろうか? と、こうなるといつでも思った。 しかしそうして横たわっていると、記憶というものが少しずつ細い流れとして蘇ってきて、懐かしい岸辺に流......
単語の意味
赤ん坊(あかんぼう)
赤ん坊・・・赤ん坊】生まれて間もない子供。また、おなかの中の子供。身体が赤みがかっているからいう。赤子(あかご)。赤ちゃん。
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美しい朦朧の意識が紅靄 のように彼を包んだ。
岡本かの子 / 金魚撩乱
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風が吹き抜けるような空腹を覚える
本庄 陸男 / 石狩川〈上〉 amazon
酒に弱いので顔をバクハツするみたいに真赤にして喋っていました。
椎名 誠 / 犬の系譜 amazon
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ひどく疲れていたし、ほんとうに夢を見る元気さえなかったのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
(夢を見ていて)そこで目が覚めた。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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