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(池の)まん中に撩乱として白紗はくしゃよりもより膜性の、幾十筋の皺がなよなよともつれつ縺れつゆらめき出た。ゆらめき離れてはまた開く。大きさは両手の拇指おやゆびと人差指で大幅に一囲みして形容する白牡丹ぼたんほどもあろうか。それが一つの金魚であった。その白牡丹のような白紗の鰭には更にすみれふじ、薄青等の色斑があり、更に墨色古金色等の斑点も交って万華鏡まんげきょうのような絢爛、波瀾を重畳ちょうじょうさせつつ嬌艶に豪華ごうかにまた淑々として上品に内気にあどけなくもゆらぎひろごり拡ごりゆらぎ、更にまたゆらぎ拡ごり、どこか無限の遠方からその生を操られるような神秘な動き方をするのであった。
岡本かの子 / 金魚撩乱 ページ位置:97% 作品を確認(青空文庫)
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金魚
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前後の文章を含んだ引用
......池の面を見た。その途端、彼の心に何かの感動が起ろうとする前に、彼は池の面にきっと眼を据え、強い息を肺いっぱいに吸い込んだ。……見よ池は青みどろで濃い水の色。そのまん中に撩乱として白紗はくしゃよりもより膜性の、幾十筋の皺がなよなよともつれつ縺れつゆらめき出た。ゆらめき離れてはまた開く。大きさは両手の拇指おやゆびと人差指で大幅に一囲みして形容する白牡丹ぼたんほどもあろうか。それが一つの金魚であった。その白牡丹のような白紗の鰭には更にすみれふじ、薄青等の色斑があり、更に墨色古金色等の斑点も交って万華鏡まんげきょうのような絢爛、波瀾を重畳ちょうじょうさせつつ嬌艶に豪華ごうかにまた淑々として上品に内気にあどけなくもゆらぎひろごり拡ごりゆらぎ、更にまたゆらぎ拡ごり、どこか無限の遠方からその生を操られるような神秘な動き方をするのであった。復一の胸は張り膨らまって、木の根、岩角にも肉体をこすりつけたいような、現実と非現実の間のよれよれの肉情のショックに堪え切れないほどになった。 「これこそ自分が十余......
単語の意味
斑点(はんてん)
絢爛(けんらん)
重畳(ちょうじょう)
万花・万華(ばんか)
拇指・母指(ぼし)
絢(あや)
斑点・・・ぶつぶつ模様。たくさん散らばった小さな点。
絢爛・・・見た目が華やかで美しいこと。「絢」は「色糸をめぐらした模様」また、「きらびやかで美しい」こと。「爛」は「鮮やか」「まっさかり」な状態をあらわす字。「豪華絢爛」
重畳・・・1.いくつも積み重なること。
2.いいことが重なって、非常に満足すること。
万花・万華・・・たくさんの花。いろいろな花。
拇指・母指・・・親指(おやゆび)のこと。「拇」は、訓読みで「おやゆび」と読める。「母指」は「拇指」の代用表記。
・・・織物で、色糸をめぐらした模様。また、模様や色合いの美しいこと。
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川えびが脚を櫂のように動かして、泳いで行く。
外村 繁 / 澪標「澪標・落日の光景 (1962年) (新潮文庫)」に収録 amazon
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