(暗い窓ガラス)暗い窓ガラスが鏡のように自分の姿を映した。《…略…》窓に近づくと、 暗闇 でしかなかった窓の奥に、白い一点の光が浮かびあがった。さらに近づくと、その空間は画廊であり、光のように見えた点は絵画の一部だとわかった。窓ガラスに鼻が触れるほど顔を寄せて内部をのぞく。徐々に眼が暗闇になれ焦点が合ってくる。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 ページ位置:3% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
覗く・隙間から見る
門・扉・窓・戸
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......なのだ。 外に出てもまだ陽射しが強かった。また僕の肉体は目的もなく歩き始めるのだろうか。僕の意志なのか肉体のものなのかはっきりしない足取りは相変わらず重たい。 暗い窓ガラスが鏡のように自分の姿を映した。そういえば誰かに幽霊と呼ばれたことがあったが、まさにそれだと思った。強い陽射しに眼がやられたのか視界は霞み、ガラスの向こうを見るとぱちぱちと青い閃光が走った。その眼で見る自分の姿は、肉体を使いこなせていない虚弱な幽体。この無様な姿を脳裏に焼きつけておこうと自虐的な気持ちで窓に近づくと、暗闇でしかなかった窓の奥に、白い一点の光が浮かびあがった。さらに近づくと、その空間は画廊であり、光のように見えた点は絵画の一部だとわかった。窓ガラスに鼻が触れるほど顔を寄せて内部をのぞく。徐々に眼が暗闇になれ焦点が合ってくる。白い光、それは月だった。月の下には歯を剝き出しにして、こちらを睨みつける猿がいた。 ほかにも沢山の絵画が壁に掛けられていた。どれも一目で子供が描いたとわかる自由......
単語の意味
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵(すがた)
暗闇(くらやみ)
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵・・・1.身体の形。からだつき。人のからだの格好。衣服をつけた外見のようす。
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
ここに意味を表示
覗く・隙間から見るの表現・描写・類語(見るのカテゴリ)の一覧 ランダム5
長い前髪のすきまからくしゃっと細くなった目を覗かせて
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
寛子の顔が、生首のように覗いて
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
額がいたくなるほどにも板につよく頭をおしつけて、のぞいていた
野間 宏「真空地帯(新潮文庫)」に収録 amazon
(象舎の象をのぞき見る)プライヴェートな時間の象の姿を見たかった
村上春樹 / 象の消滅「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
門・扉・窓・戸の表現・描写・類語(室内のようすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
縁側の硝子戸の一部が、軒先に立てかけてある戸外食卓の天幕(テント)の加減で、鏡のように室内の一部を映して
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
窓ガラスに結晶する氷紋が美しい
三浦 綾子 / 続 氷点 (上) (角川文庫 amazon
このカテゴリを全部見る
「見る」カテゴリからランダム5
窓から手を振った。 見送るものの胸に一瞬刻印される「死」の香りがするさみしさの陰影は、ほんとうに見送られるものと同一だろうか?
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
意識を集中し、公園の監視を続ける。高いマストに一人で上り、広大な海原に魚群やら潜望鏡の不吉な影やらを求める見張りの船員のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
「室内のようす」カテゴリからランダム5
白熱電球の光が、板張りの床の上で黄色っぽく弾けていた。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
見る の表現の一覧
室内のようす の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ