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(強風吹かれながらの電話)大きな声で聞き返す。ビルの外側にある非常階段の踊り場は、とても風が強い。きちんとつかまえていないと、自分の声も碧の声も全部ばらばらに砕けてしまう気がした。《…略…》声が、電話口に届く前に、風にさらわれていく。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 ページ位置:88% 作品を確認(amazon)
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強風・暴風
電話で話す
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前後の文章を含んだ引用
......不良って聞いたけど」 愛子は、非常階段のドアを開ける。なんとなく、事務所の誰にもこの会話を聞かれないほうがいいような気がした。【ごめんね、愛子】「え? 何?」 大きな声で聞き返す。ビルの外側にある非常階段の踊り場は、とても風が強い。きちんとつかまえていないと、自分の声も碧の声も全部ばらばらに砕けてしまう気がした。【ドラマで、大切な人と別れるシーン撮ってて……そしたらもう、会いたくなっちゃって】「何? 何言ってるの?」 本当は、きちんと聞き取れていた。だけど愛子は、何度も......<中略>......ではないということはわかった。「今、駅だよね? 何駅?」【私、今でもはっきり覚えてるんだよ。何回も何回も思い出してたから】「ねえ、どこ? 行くから、そこまで」 声が、電話口に届く前に、風にさらわれていく。【事務所に入ったときは、アイドルになるつもりじゃなかったの、私】 愛子は、閉めたドアにもたれると、携帯を持ち直した。【いつかは女優にって思ってたんだけど……そし......
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バグダッドは風の強い町だった。それも、東京のように、高層ビルにぶつかって 癇 が立ったような風とは違い、荒涼とした無人の土地を吹き抜けてきた、乾いた大波のような風だった。 その風が、日々の爆発の黒煙を、清掃員のような馴れた面持ちで片づけてしまう。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
風が今にも梢から月を落としそう
国木田 独歩 / 武蔵野 amazon
オオ! と叫んでも 風が吹き消して行く
林芙美子 / 新版 放浪記
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耳元でぐるぐる捩れながら吹き過ぎていく風の音
宮本輝 / 道頓堀川 amazon
秋風にがたつく戸が細目にあいてる間から吹き込んだと見えてランプはいつの間 にか消えている
夏目漱石 / 吾輩は猫である
積み上げた杉材の隙間から隙間を、笛に似たやわらかな音を立てて風が抜けていく
高樹 のぶ子 / 光抱く友よ amazon
締め出しを食った犬みたいに鼻を鳴らしている風
ジュール・ルナール / にんじん amazon
「動き・反応・変化・現象」カテゴリからランダム5
降りしきる雪の中に薄れて行って、やがてはかき消すように見えなくなってしまった。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
「電話」カテゴリからランダム5
(見知らぬ女性からの電話)黒く伸びた電話のコードの先に闇があって、その闇のなかに女がひとり坐っている。顔も姿も見えないが、自分と同じように受話器を持って坐っている。
向田邦子 / 花の名前「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
まるで発作のたかまりの究極で、生命の糸が引きちぎられるかのように、ぷつんとその電話は切れた。そしてあとには漂白されすぎた下着のような暖かみのないがらんとした沈黙だけが、残った。
村上春樹 / ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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