(恋人が同棲中の部屋から出て行って自分ペースの生活に戻り)軌道にもどった僕はまた宇宙のなか一つだけうかぶ恒星。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 ページ位置:45% 作品を確認(amazon)
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失恋・恋人と別れる
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......付いただけで奈世がいないこの部屋にも、結局生活の実感はない。余計なものがいっさい片付いたリビングで飲むコーヒーは、なぜか僕を住人ではなく客のような気分にさせる。軌道にもどった僕はまた宇宙のなか一つだけうかぶ恒星。一息つけてようやく生きている実感はわいたけれど、したいことが何もなくなった。しんとした気配はなんのバリアもない僕に容易にまとわりつき、浸透してゆく。6 夜、晩酌......
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失恋・恋人と別れるの表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(恋の終わりの予感)2人はもう終わるかもしれない……と思った。やることがない。のびてゆく方向が閉ざされている。ガラスケースのなかの植物のように、助け合っていてもお互いがお互いに救いや解放感を感じさせない。 闇 の中で傷をなめあったり、老夫婦のように寄り添って暖をとったり。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
奈世のいなくなった部屋は、もともとは僕が一人で住んでいたにもかかわらず、妙にがらんとして、彼女のぬけがらがそこらじゅうに落ちている、雑然とした状態だった。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
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階段の真下まで行った時、野呂が足を止め、ゆっくりとわたしのほうに顔を傾けると、わたしの頰に手をあてがってきた。ああ、ここでキスをされるのだな、と思った。 酔いが感覚を鈍麻させていたために、わたしがそう思ったのと、彼が唇を合わせてきたのはほぼ同時だった。眠ろうとして目を閉じる時のように、わたしはそっと目を閉じた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
服を脱いだ素肌が、冷房の風に当たって冷たい。だけど、唾で濡れたり、涙が触れたりして一度あたたかくなった場所のほうが、もっともっと冷たい。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
彼は彼女が彼にむける、脇目もふらぬ愛に重荷を感じた。彼女の心から流れでてくるように思える、一筋の熱い思いが、自分の体のまわりを取り捲くのを感じ、彼はわずらわしいという思いをするのだった。
野間 宏 / 顔の中の赤い月「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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