語り草になるほど華やかな恋愛

（彼が）通りを眺めている。翳りのない宝石のような瞳で。わたしはどうしてもそれを自分のものにしたかったのだ。宝石と、その台座を。

恋って発狂することだもん。《…略…》伊吹の「好き」は私と全然違う。私みたいに発情した身体を持て余してもいなければ、狂った独占欲が破裂するわけでもない。

恋愛はびいるす菌みたいなものだから、いつの間にしていたのやら、終ったのやら判らない

恋というよりもまず、とにかく目を引いた。

動揺する

彼女の存在がこんなにも自分の心を乱す。

浮つく

苛立つ

辛気臭い

その後、私の心に起こった微妙な選択の波、幾千もの思いに満ちた決断の断層をうまく表現できるだろうか。いけない、今止めればごまかせるというこころと、この本といい、あんなに沢山ある私のテープの中から、偶然にもたった一本しかないそれをわざわざ選び出したことといい、彼の心の奥底に潜む嘆きがそんなに叫ぶのなら、聴かせてやるべきなのかもしれない、というこころがひらめきのように 錯綜 した。 　千々に乱れる親切と意地悪、それよりももっと深い親切と意地悪、メロドラマとノンフィクション、いろんなものが混じり合って動きがたくなり、ロマンチックにもなんと、聴かせてあげる方へ傾いた。 　あるカップルの 終焉 を天上から見守るマリア様のような切ない決断だった。

獣（けもの）に見るような野性のままの取り乱しかた

わたしは目をむき、手にしていたマグカップを近くにあったテーブルの上に乱暴に載せた。はずみでコーヒーが何滴か、あたりに飛び散った。

電話を受けた母が、僕に知らせるため階段を駆け上がってきた時の乱れた足音が、今も耳に残っている。

興奮はしているようだったが、取り乱している様子はない。

当り散らす

山奥のテントの中のような落ち着きのなさ

「ルート人名が……ルートが……ああ……とんでもないことに……」 　博士は満足に喋ることもできないくらい動揺していた。事情を説明しようとすればするほど唇は震え、額に汗が吹き出し、歯がかちかち鳴るばかりだった。

虚を衝かれたような狼狽

監督はブリブリしていた。

道ならぬしかし懸命な必死の愛

その時の性愛は、十代の男女のように烈しく、純粋に烈しい分だけ、ある意味では健康的だった。余計なことを考えずに、ひたすらぶつかり合うような交わり方だった。

メガネをはずす隙もないほどの突然のキス

ロケットの発射とか花火とか、そんなものに似て、射精はお祭りのようなものだ。

（女は）彼の股間に手をやり無邪気に微笑む