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麻薬・覚せい剤・ドラッグの表現・描写・類語(事件・事故のカテゴリ)の一覧 ランダム5
部屋では中央に拳程もあるハシシが香炉で焚かれ、立ち込める煙は呼吸のたびに否応なく胸に入ってくる。三十秒もたたないうちに完全に酩酊する。からだ中の毛穴から内臓がドロドロと這い出し、他人の汗やら吐く息が入り込んでくるような錯覚に陥いる。
特に下半身は重い沼につかったように爛れ、口は誰かの器官をくわえたくて、体液を飲み込みたくてムズムズしている。皿に盛られた果物を食べワインを飲むうちに、部屋全体が熱の冒され始めて、自分の皮膚を引き剥がして欲しいと思う。ツルツルした油にまみれている黒人達の肉体を体内に入れて揺すりたいと感じている。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
(多めのヘロインを打たれて)皮膚が震えて針が離れた瞬間、もうヘロインは指の先まで駆け巡り、鈍い衝撃が心臓に伝わってきた。視界に白い霧のようなものがかかり《…略…》息を吸いたいが呼吸のリズムが変わっていてうまくできない。殴られたように頭が痺れていて口の中が焼ける程乾いている。《…略…》カラカラになった歯茎から少しだけ滲み出た唾液を呑み込むと、足先から駆け昇るように吐き気が込み上げて、呻きながらベッドに倒れた。《…略…》枕に顔を埋める。喉の奥は乾いているのにひっきりなしに唾液が唇から溢れ、それを舌ですくうたびに猛烈な吐気が下腹に襲ってくる。思いきり息をしてもほんの少ししか空気は入ってこない。それも口や鼻からではなく胸に小さな穴があってそこから漏れ込むような感じだ。腰は動けない程痺れている。締めつけられるような痛みが時々心臓を刺す。顳顬(こめかみ)で脹れた血管が思い出すようにヒクヒク震える。目を閉じるとものすごいスピードで生暖い渦の中に引き込まれるような恐怖を感じる。からだ中をヌルヌルと愛撫されて、ハンバーグに乗せられたチーズみたいに溶けていくようだ。試験管の中の水と油塊のように、からだの中で冷えきっている部分と熱をもったところが分離して動き回っている。頭や喉や心臓や性器の中で熱が移動している。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
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「事件・事故」カテゴリからランダム5
井の頭通りを目指して歩いていると、背後から自転車が近づく音がして、破裂音が響き、太ももに激痛が走った。次の瞬間、地面が眼の前にあって自分が何者かに殴られたことがわかった。そいつは自転車から降りて、僕をなにかで殴り続けた。音と感触で傘だとわかった。折れた傘で男はしばらく僕を殴り続けた。排水溝から 黴臭い 匂いがした。男は倒れた自転車を起こし、走り去っていった。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
火の壁をくぐって、亡霊のような人影がもつれ合いながらよろめき出る
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
(飛行機の墜落事故)山も深く傷ついていた。引き受けたのだ。他のどの山でもなく、世界最大の事故を、あの御巣鷹山が引き受けたのだ。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
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