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赤ん坊の泣き声が聞こえたような気がした。太陽のきらめきのずっと向こうの方で、小さく震え涙で潤んだ泣き声が響いていた。耳を澄ますと、その声はまっすぐ鼓膜に吸い込まれていった。耳の奥が切なく痛んだ。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:97% 作品を確認(amazon)
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耳を澄ます・聞き耳を立てる
子供が生まれる・産声
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前後の文章を含んだ引用
......った。わたしは目を凝らし、薬のびんや血圧計や逆子を治すポーズの写真や超音波診断装置を、一つ一つ順番に確かめていった。顔に当たる窓ガラスが生温かかった。 微かに、赤ん坊の泣き声が聞こえたような気がした。太陽のきらめきのずっと向こうの方で、小さく震え涙で潤んだ泣き声が響いていた。耳を澄ますと、その声はまっすぐ鼓膜に吸い込まれていった。耳の奥が切なく痛んだ。わたしは三階に目をやった。ネグリジェ姿の女性が遠くを見ていた。肩の曲線がガラスに映っていた。ばらけた髪の毛が頰にかかり表情を青白い影にしていたので、それが姉なの......
単語の意味
赤ん坊(あかんぼう)
赤ん坊・・・赤ん坊】生まれて間もない子供。また、おなかの中の子供。身体が赤みがかっているからいう。赤子(あかご)。赤ちゃん。
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からだじゅうを耳のようにしていた。
有島武郎 / 或る女
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食うものがあろうがなかろうが子供は芋の子のように出来て去年の暮れに八人目が生まれ
伊藤 永之介 / 鶯 (1956年) amazon
(陣痛)陣痛の予感がある。それは宿命的な列車のように予定の時刻を違えることなく駅に近づいてくる。彼女はレールの微かな震えを聴き取る。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
(新生児)産院の、小舟のような形の透明なベッドに収まった赤ん坊を見た時、自分の中にわいたのは、喜びよりも怖れに近いものだった。生まれてからまだ数時間しか経っておらず、まぶたにも、耳たぶにも、踵にも、さっきまで羊水に浸かっていたふやけた感じが残っていた。目は半ば閉じられていたが、眠ってはいないらしく、大きすぎて身体に馴染まない産着からはみ出た手足を、小刻みに動かしていた。まるで、間違った場所に置き去りにされた不満を、誰かに訴えているかのようだった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
へその緒が断ち切られる。 最初は二人で一つだったのに、つながっていたのに、人はこうやって、糸から切り離されて現世に落ちる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
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(汽車の乗客の)喧しさは、屠所であばれる豚みたいだ。声まで豚にそっくりだ。
小島 信夫 / 汽車の中「新潮日本文学 54 小島信夫集 小島信夫集 抱擁家族 アメリカン・スクール 吃音学院 他」に収録 amazon
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巻かれていた時計のねじがだんだん緩んで、モーメントが限りなくゼロに近くなり、やがて歯車が最後の動きを止め、針がひとつの位置にぴたりと停止する。沈黙が降りる。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
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