フローリングに寝そべって天井を見つめていると、視界には白しか入らなくて、ここがどこかもわからなくなった。

今起きかえったばかりの葉子が、はでな長襦袢（ながじゅばん）一つで東ヨーロッパの嬪宮（ひんきゅう）の人のように、片臂（かたひじ）をついたまま横になっていた。

（ベッドで横になる）ベッドに横になった。それから、シーツに顔をこすりつけるようにして大きな伸びをした。マットの中で、スプリングがくすんだ音をたてた。

（午後の穏やかな日差しが射す部屋で、）長椅子の上に横たわった。 　彼女の両手は組合わされて頭の下にあった。その下にクッションがかさなって柔かく心持よく押しつけられている。肱かけの部分が高いので、長椅子は彼女の眼のところに程よい陰翳を与えた。暖かい……室内は絶対に物音せず、わずかに、開いた窓から気にならない程度に市街のどよめきが流れて来る……神経を撫で和らげられるので、伸子は眠いようになった。

俺たちはモーターのように無感覚で、疲労することを知らない道具である

何だかやる気が出なくてベッドに横たわっていた。

黒い洋服（ようふく）をきちんと着（き）たせいの高い青年がいっぱいに風に吹（ふ）かれているけやきの木のような姿勢（しせい）で、男の子の手をしっかりひいて立っていました。

両膝を曲げて海老のように窮屈になる

深く椅子にかけ、上体を捩って片肱をかけ、椅子の背を抱えこむような恰好をした。

階段状の観覧席の真中あたりに、わたしは引っ掛かるようにして坐っている。

不眠の疲れと緊張とで、目の奥に不快な熱感がわだかまっている。

猛々しい風に眠りを妨げられる

鼻から抜ける息に唸るような声が混じった。それは目覚める時の合図だった。

まだ眠っているような、不思議な気分で布団から這い出た。

私はソファにかけ、頭を椅子の背にもたせて目を閉じた。緊張がほぐれなかった。疲れているはずだが、まだ血が騒いでいて疲れを意識出来なかった。ウイスキイをのめば、徐々に疲労感が浮び上って来るだろう。