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風が急にマストを鳴らして吹いて行った。
小林多喜二 / 蟹工船 ページ位置:26% 作品を確認(青空文庫)
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はためく・翻る
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前後の文章を含んだ引用
......がどこか変ってきた。薄い海霧ガスが一面に――しかしそうでないと云われれば、そうとも思われる程、淡くかかった。波は風呂敷でもつまみ上げたように、無数に三角形に騒ぎ立った。風が急にマストを鳴らして吹いて行った。荷物にかけてあるズックのおおいのすそがバタバタとデッキをたたいた。 「兎が飛ぶどオ――兎が!」誰か大声で叫んで、右舷のデッキを走って行った。その声が強い風にすぐちぎ......
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