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この建物の中では時間は奇妙な流れ方をしていた。居間に置かれた旧式の柱時計と同じだ。人々が気紛れにやってきては分銅を巻きあげる。分銅が上っている限り、時はコツコツと音を立てて流れる。しかし人々が去り分銅が下りてしまうと時はそこで止まる。そして静止した時の塊りが床の上に色あせた生活の層を積み上げる。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:80% 作品を確認(amazon)
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長い時間(期間)
使われていない部屋・部屋主がなくなった部屋
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前後の文章を含んだ引用
......のが所狭しと積みあげられていた。中学校の受験参考書やラジオ・コントロールの飛行機まであった。それらの殆んどは五〇年代中頃から六〇年代中頃にかけての産物だった。 この建物の中では時間は奇妙な流れ方をしていた。居間に置かれた旧式の柱時計と同じだ。人々が気紛れにやってきては分銅を巻きあげる。分銅が上っている限り、時はコツコツと音を立てて流れる。しかし人々が去り分銅が下りてしまうと時はそこで止まる。そして静止した時の塊りが床の上に色あせた生活の層を積み上げる。 僕は何冊かの古い映画雑誌を持って居間に戻り、それを開いてみた。グラビアの紹介映画は「アラモ」だった。ジョン・ウェインの初監督映画で、ジョン・フォードも全面的に......
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尻尾をくわえた蛇のような長ったらしい告白
安部 公房 / 他人の顔 amazon
時間が蛇腹(じゃばら)のように、深いひだをつくって幾重にもたたみこまれている
安部 公房 / 砂の女 amazon
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ドアを開ける度、ぞっとした。住まなくなってからのここは、まるで別人の顔をするようになった。 しんと暗く、なにも息づいていない。見慣れていたはずのすべてのものが、まるでそっぽを向いているではないですか。私は、ただいまと言うよりはおじゃましますと告げて抜き足で入りたくなる。 祖母が死んで、この家の時間も死んだ。 私はリアルにそう感じた。
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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一瞬ずつが、こぼれる水滴みたいに貴重でとてもたくさんのことを語った。 陽も、水もなにもかもが、今日が一回しかなくて今はいろんなことが出し惜しみなくあふれてる
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
私は冬を目の前に控えた自然の前に幾度も知らず知らず棒立ちになって、君の事と自分の事とをまぜこぜに考えた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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この人は住居に愛がない《…略…》箱のようにしか思ってない
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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