(返ってくるはずのない父を待って)何台ものバスが過ぎた。乗客は次第に減って行った。一台をやりすごすたびに、恭一の心もうつろになって行った。からっぽのバスが来ると、胸もからっぽになった。
浅田次郎 / 角筈にて「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 ページ位置:30% 作品を確認(amazon)
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むなしい・虚無感
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前後の文章を含んだ引用
......リーを唄いながら、恭一の汚した舗道をデッキブラシで洗い始めた。シャッターを下ろしかけてうんざりと恭一を見、いちど店に入ってから冷えたラムネを持ってきてくれた。 何台ものバスが過ぎた。乗客は次第に減って行った。一台をやりすごすたびに、恭一の心もうつろになって行った。からっぽのバスが来ると、胸もからっぽになった。 荻窪行の最終が来た。わずかな乗客は、みな降りてしまった。「最終でえす――ぼく、最終よ。いいの?」 折り畳みのドアを引きかけながら、車掌が身を乗り出して訊ねた。......
単語の意味
虚ろ・空ろ・洞ろ(うつろ)
胸(むね)
虚ろ・空ろ・洞ろ・・・1.空洞(くうどう)。空っぽ。中身が何もないこと。
2.心が空っぽになり、生気がないさま。表情がボーっとして気持ちがないさま。
2.心が空っぽになり、生気がないさま。表情がボーっとして気持ちがないさま。
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青寒い虚無感
岡本かの子 / 金魚撩乱
たまらないほどの虚脱感が彼を襲った。辛うじて身をひとつに寄せ合っていた様々な意識の流れが、突然それぞれの方向に歩み始めたようでもある。何処まで行けばそれらの流れがまたひとつに巡り合えるものか鼠(人名)にはわからない。いずれは茫漠とした海に流れこむしかない暗い川の流れだ。二度と巡り合うこともないのかもしれない。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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十七歳の心に巣食う、この何者にもなれないという枯れた悟り
綿矢 りさ / インストール amazon
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