一匹の青蛙 がいつもそこにいた。電燈の真下の電柱にいつもぴったりと身をつけているのである。しばらく見ていると、その青蛙はきまったように後足を変なふうに曲げて、背中を掻 く模 ねをした。電燈から落ちて来る小虫がひっつくのかもしれない。いかにも五月蠅 そうにそれをやるのである。
梶井基次郎 / 闇の絵巻 ページ位置:38% 作品を確認(青空文庫)
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蛙(かえる)
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前後の文章を含んだ引用
......にしか電燈がついていなかった。今でもその数が数えられるように思うくらいだ。最初の電燈は旅館から街道へ出たところにあった。夏はそれに虫がたくさん集まって来ていた。一匹の青蛙 がいつもそこにいた。電燈の真下の電柱にいつもぴったりと身をつけているのである。しばらく見ていると、その青蛙はきまったように後足を変なふうに曲げて、背中を掻 く模 ねをした。電燈から落ちて来る小虫がひっつくのかもしれない。いかにも五月蠅 そうにそれをやるのである。私はよくそれを眺めて立ち留っていた。いつも夜更 けでいかにも静かな眺めであった。 しばらく行くと橋がある。その上に立って溪の上流の方を眺めると、黒ぐろとした山が空......
単語の意味
背中(せなか)
暫く・姑く・須臾(しばらく)
背中・・・背の中央。背骨のあたり。動物の胴体の背骨のある側。胸や腹と反対の面で、両肩の間から腰のあたりまでの部分。背(せ)。背面。
暫く・姑く・須臾・・・1.長いと感じるほどではないが、すぐともいえないほどの時間。ちょっとの間。一時的。
2.ちょっと待った!
2.ちょっと待った!
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蛙の声に家も身も埋めらるるように感じるほど、夜がしんとしている
田山 花袋 / 田舎教師 amazon
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食用蛙がヽぼろんぼろんと雨滴のように何時までも二人の耳についていた。
林 芙美子 / 浮雲 amazon
和金の清洒 な顔付きと背肉の盛り上りを持ち胸と腹は琉金の豊饒 の感じを保っている。
岡本かの子 / 金魚撩乱
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