急流を下るボートに喩(たと)えるなら、俺は今舵をとるのに忙しくて、両手がはなせないんだ。だから君にオールを渡している。もし君ができないというのであれば、ボートは転覆し、俺たちはみんなきれいに破滅するかもしれない。《…略…》ボートから降りるのなら、もっと前に、流れがまだ静かなうちに降りるべきだった。《…略…》急流下りを楽しもう。そして滝の上から落ちるときは、一緒に派手に落ちよう。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 作品を確認(amazon)
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道連れ・一蓮托生
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(心中を図る男女)私と雄一は、時折漆黒の闇の中で細いはしごの高みに登りつめて、一緒に地獄のカマをのぞき込むことがある。目まいがするほどの熱気を顔に受けて、真っ赤に泡立つ火の海が煮えたぎっているのを見つめる。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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(ぬるま湯に浸かって堕落)何年となく続いて来たこの平穏無事で、水蜜桃じゃないが、尻の方から腐って来たような気がしているんだ。
志賀 直哉 / 邦子「志賀直哉全集 〈第6巻〉 沓掛にて 豊年虫」に収録 amazon
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