（カレーパン）鼻孔をくすぐる揚げたパン独特の甘くて香ばしいドーナツ風の香り。そして次にカレー粉っぽいカレーの香りが来る。噛みしめると揚げたパン独特のしがみ付くような弾力があって、皮にはかなり甘みがあることに気づく。

ゾリゾリと聞こえるのはカリカリに焼いたパンの表面をバターナイフの先が直にこすった時の音。バターの塊が熱で急に他愛もなく溶けていき、パンの小さな凹みという凹みに染み込んでいく。濃厚なバターの味、パンに染み込んで一体となったパンとバターの味、そしてその下の、少し湿り気をおびたパンの味、最終的に口の中はバターの脂にまみれる。

パンにしても何か粉っぽくて、舌ざわりがぽくぽくしておいしくはなかった。

彼女はまるでレンブラント（オランダの画家）が衣服のひだを描くときのように、注意深く時間をかけてトーストにジャムを塗った。

（メロンパン）黄色くて表面がカリカリしていて、いい歯ごたえ

パンは三日で固くなる。食パンは一週間で青カビが生え、フランスパンはひと月で 棍棒 になる。

彼女はまるでレンブラント（オランダの画家）が衣服のひだを描くときのように、注意深く時間をかけてトーストにジャムを塗った。

その小倉トーストはパンを三角に切ったものの上に小倉あんが塗りたくってある。一見みそ田楽に見えなくもない。

配給された小石のような固パン

（餅は、）沼へでも落ちた人が足を抜こうと焦慮（あせ）る度にぶくぶく深く沈む様に、噛めば噛む程口が重くなる。