鯉の泥臭さも脂っこさも又独特の匂いも凡て佐久の鯉にあって鯉こくにして食べていて、これだ、これたという感じになる。その内臓と思われる部分が殊に結構で頭の所に運よく当ればもう言うことはない。どうも食べものというのは匂いの次にどこか苦いことが大事であるようで佐久の鯉がその標本であることは食べて見れば解る。
吉田 健一 / 私の食物誌 作品を確認(amazon)
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鯉
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単語の意味
鯉(こい)
鯉・・・コイ科の淡水魚。大形の鱗(うろこ)で覆われ、口には二対のヒゲがある。観賞用に改良した錦鯉は池などで飼われる。真鯉(まごい)は食用体の側面におよそ36枚の鱗が一列に並んでおり六六魚(りくりくぎょ・ろくろくぎょ)とも呼ぶ。
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川でとれた鯉を、 「半年ほど、この池へ入れておきますと、すっかり臭みがぬけ、身がしまってくるのです」 と、店の人がいった。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
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