きのう古藤が持って来た花が、暑さのために蒸 れたようにしぼみかけて、甘ったるい香を放ってうなだれていた。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:95% 作品を確認(青空文庫)
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花
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前後の文章を含んだ引用
......ような捨てばちな気分になっていた。そしてふらふらと少しよろけながら、衣紋 も乱したまま部屋 の中を片づけようとして床の間の所に行った。懸 け軸もない床の間の片すみにはきのう古藤が持って来た花が、暑さのために蒸 れたようにしぼみかけて、甘ったるい香を放ってうなだれていた。葉子はガラスびんごとそれを持って縁側の所に出た。そしてその花のかたまりの中にむずと熱した手を突っ込んだ。死屍 から来るような冷たさが葉子の手に伝わった。葉子の指先......
単語の意味
項垂れる(うなだれる)
香(こう)
項垂れる・・・悲しさや不安、恥ずかしさ、落胆などが原因で、力なく首を前に垂れる。がっくりする。
香・・・かいでいい匂いがするもの。いい匂いがする物質(香料)を練り固めたもの。火をつけて煙を立ちのぼらせて、香りをたたせるもの。ねり香。お香。
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コスモスが燃え立つ炎のように揺れる
石川 達三 / 花のない季節 amazon
薔薇のつぼみが、どれも定規で計ったように大きさがそろっている
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
天鵞絨(ビロード)のような石竹の花
中 勘助 / 銀の匙 amazon
(マロニエの花)街路樹の黒く茂った葉の中に、蝋燭 を束ねて立てたような白いほの/″\とした花
岡本かの子 / 巴里祭
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木は高い梢にやせた葉を冠のようにつけているばかり
大岡 昇平 / 俘虜記 amazon
根が、老いた蛇の肌のように灰白色に乾いてささくれだって、しぶとくうねっている
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(いちょうの実)このいちょうの木 はおかあさんでした。 ことしは千人 の黄金色 の子 どもが生 まれたのです。
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長塚 節 / 土 amazon
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