おにぎりは、室内で食べるとおいしくない。屋外に限る。

飯粒のあいだから顔を出したコロッケを見て、ヨキはうれしそうだ。なんだか占いみたいなおにぎりだなあ

塩は、ミネラルを豊富に含みまろやかで深い味わいを持つ「瀬戸備前にがり塩」を使う。昔風の温かみのあるおいしさを作り出せる。

沢庵をきざんで飯にまぜ、これを握り飯にしたもの

申しわけのように浅草紙のごとき海苔が貼りついた〔にぎりめし〕

豪快な海のご馳走、かつおの手こね寿司

江戸前ずしの代名詞は何かと聞かれたらコハダと断言する職人は多い。瑞々しく輝くその姿は数ある寿司ダネの中でも特に美しい。

口へ入れたとき、種と飯とが渾然一体となっている

甘辛く煮含めた油揚げと酢飯の味が口の中にじゅわっと広がり、懐かしさが漂ういなり寿司

たっぷり載った軍艦巻きのウニは、粒がしっかりと見え、口に入れると濃厚な磯の香りが広がる。

甘辛く煮含めた油揚げと酢飯の味が口の中にじゅわっと広がって、懐かしさが漂う

じゅんじゅん焼けてまだ煙の出ている油揚げをお皿に移して、すぐ醤油をかけるとばりばり跳ねる

稲荷ずしに於ける油揚げは、おかずではなく一種の皮である。 　おにぎりに於けるノリと同じように、一種のパッケージともいえる。

黄色っぽくてふわんとたよりない

油揚げは脇役だということである。 「パートナーを立てる」という精神を片時も忘れない性格も、人々の好感をさそったようだ。 　自らリーダーシップを取ることなく、周囲との協調を大切にする、というのが油揚げの生き方である。《…略…》油揚げ自体は、それほど味のあるものではない。 　しかしこれが、ひとたび味噌汁の中にひたされると、味噌汁やダシの味を吸いこみ、自己の味と同化させ、嚙みしめたとき、油揚げ独特のあの滋味あふれる味となる。自分を強く主張することを避け、周囲との同化によって自分の持ち味を引き出す。しかもそれが自分の実力以上の力を発揮する結果となっているのである。《…略…》「人の行く裏に道あり、花の山」 　これが油揚げの処世術なのである。

おにぎりは、室内で食べるとおいしくない。屋外に限る。

飯の上にしぐれ煮をたっぷりと載せやかんの湯を注ぐ。白飯の上で湯が薄茶色に滲む。ざーっと音を立てて飯をかき込む。湯にははまぐりの煮汁が沁みこんでジワリと舌に絡まり、口中に海の香りが押し寄せる。

申しわけのように浅草紙のごとき海苔が貼りついた〔にぎりめし〕

きのこがご飯と渾然一体となって森林の香りをかもし出し、鶏肉と油揚げによるコクと旨味がご飯にしみている

ゴハンのおかずというものは基本的に塩気のあるものが合う。しかるにハヤシのソースは甘い。甘いものはゴハンには合わないのです。ここにハヤシライスが持っている根元的な問題がある！

油揚げを厚く焼いてお醤油をつけたもの、それをホカホカのご飯で食べた時のおいしさ。あの頃の油揚げはどうしてあんなにうまかったのだろう。

大きな豆腐。どかんと豪快だ。

ねっとりとしたゴマ入り醤油と合わさり、くすぐられるような喉越し

うまさと湯気の温かさが未だに忘れられない

醤油、旨味調味料、辛子にネギをたっぷり入れて、これでもかというくらいかき混ぜ、アツアツのご飯にかけて食べる