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座ってもたれかかっている居間と和室を区切る柱はすり減って細く、柱の表面の木はところどころ削れていたり、黒ずんでいたり、部屋の年月を感じさせる。木目を指でなぞると、滑らかすぎる感触に鳥肌が立ち、指から身体にまで伝わった。ありもしない木のささくれを、手の平が想像している。果芯のように細い柱。私たちは日にちの経ったりんごのなかで、黒い種になり向かい合いながら暮らしている。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 ページ位置:21% 作品を確認(amazon)
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同棲・一緒に暮らす
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前後の文章を含んだ引用
......増えると近くにある水門が開き、濁流が勢いを増し、へどろの臭いが立ちこめる。町の人々がストレス発散のためにつばを吐いたり紙を散らして汚したりもする、都会の川だ。 座ってもたれかかっている居間と和室を区切る柱はすり減って細く、柱の表面の木はところどころ削れていたり、黒ずんでいたり、部屋の年月を感じさせる。木目を指でなぞると、滑らかすぎる感触に鳥肌が立ち、指から身体にまで伝わった。ありもしない木のささくれを、手の平が想像している。果芯のように細い柱。私たちは日にちの経ったりんごのなかで、黒い種になり向かい合いながら暮らしている。 絃はベッドに寝そべって、まだ会社で出力してきた企画書を見たりしている。早く終えたいのかページをめくる手つきが少し荒々しい。彼の生活の基軸は会社で私生活は長めの......
単語の意味
身体(しんたい)
鳥肌・鳥膚(とりはだ)
手の平・掌(てのひら)
身体・・・人のからだ。肉体。
鳥肌・鳥膚・・・寒さや恐怖などにより、皮膚が鳥の毛をむしり取ったあとの肌のように、ぶつぶつになること。皮膚の毛穴が強く閉じられることで起こる現象。関西では「さぶいぼ」(寒くて出るイボ)ともいう。
手の平・掌・・・手首から先の、物を握ったときに内側になる面。掌(たなごころ)。
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二人の教員で一室を分け合っている
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
座ってもたれかかっている居間と和室を区切る柱はすり減って細く、柱の表面の木はところどころ削れていたり、黒ずんでいたり、部屋の年月を感じさせる。木目を指でなぞると、滑らかすぎる感触に鳥肌が立ち、指から身体にまで伝わった。ありもしない木のささくれを、手の平が想像している。果芯のように細い柱。私たちは日にちの経ったりんごのなかで、黒い種になり向かい合いながら暮らしている。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
真由は引退してから定職につかず、アルバイトをしながら彼と 同棲 していた。あまりにも長い間それが続いたので、私も母も、彼らが結婚していないことすら忘れてしまっていた。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
みんなが一度くらい親から決定的に拒まれたことをどこかでおぼえている。例えばおなかの中で、まだ目もみえないとき。話もできない時。だからもう一度、誰かが自分の親になってくれることを、本当に死にそうな時に物理的に共同責任をおってくれることを、理屈ではなく、ただとにかくむしょうに求めてひとはひとと暮らそうとするのだろう。
吉本 ばなな / 大川端奇譚「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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とぐろ巻いて暮す
宮本百合子 / 伸子
同じ一日の同じ繰り返しだった。どこかに折り返しでもつけておかなければ間違えてしまいそうなほどの一日だ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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