十代の後半をこの男とともにすごした思い出はあったが、だからと言って愛情のようなものはなかった。同じ通勤電車で何年も顔を合わせているサラリーマンの人生が、自分に関わってこないのと似ていた。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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興ざめ・白ける
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......!」久遠が嘆いた。 雪子はじっと地道を見つめ、この男が本当に射殺されるような事態になっても自分は悲しまないだろうな、と思った。不思議な感覚だったが、そうだった。十代の後半をこの男とともにすごした思い出はあったが、だからと言って愛情のようなものはなかった。同じ通勤電車で何年も顔を合わせているサラリーマンの人生が、自分に関わってこないのと似ていた。 地道は悪い男ではなかった。けれど、雪子の知っていた時よりも、長所と思われた部分が減り、下らない人間に成り下がったように見えた。臆病で、へつらう様子は、見ていら......
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興ざめ・白けるの表現・描写・類語(嫌いのカテゴリ)の一覧 ランダム5
最初は居心地よく感じられたアパートメントも、趣味の悪い田舎じみた部屋のように見えてくる。いろんなものが最初の輝きを失っていく。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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