レーンの右寄りの場所から転がり出したボールは、ガーターの溝と平行に、綱渡りを楽しむかのように、まっすぐ転がった。床を走るボールは、ほどなく、急に肩の力を抜くように、方向を変え、左へと曲がった。 　いったん、回転を止めるような素振りを見せると、直線方向へ、つまり、ピンの正面へと、向かった。まるで、そこへのレールが敷かれていたかのように、ボールは一番ピンと二番ピンの間に、吸い込まれる。 　弾いた。ボールはピンを飛ばし、自ら弾けた。叫喚するような音が、レーンの先から響いた。

絶望の象徴とも言えるスプリット

西嶋が投げたボールは、レーンの右寄りの位置から綺麗に回転しながら進み、半分を越えたあたりで、緩やかに左側に曲がりはじめる。カーブなのかフックなのかは判然としないが、とにかく曲がる。その曲がり方は期待を持たせる膨らみを伴っていたが、結局は、一番ピンを行き過ぎ、横のピンに当たった。左側が抉られたように、ピンが残った。

ボールがレーンに落ち、どんという響きが鳴る。滑走する静けさの後、ピンが小気味良く倒れ、破裂するような音を発する。

ボールの転がる静けさの後、ピンの弾ける音がした。

黒いジャケットのチームと緑色のジャケットのチームが、もつれ合ってボールを蹴っていた。

凧が大空の海を泳ぐ

普段使わない筋群を徹底的に苛め抜く

（光が滑るアリーナの上で）竹刀の先が、雷に打たれたように光る。

身体が真直ぐ直角に水を突き抜けて、しぶきがほとんど飛び散らなかった。小さな泡が沸き上がった後、水面はすぐに滑らかになった。