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(水枕)耳の下で水枕がプカンプカンと音を立てている。《…略…》頭を動かすたびに、なまぬくい水がふなべりを叩く波のように鼓膜に伝わってくる。
向田 邦子 / 耳「思い出トランプ (新潮文庫)」に収録 ページ位置:0% 作品を確認(amazon)
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患者・病人・けが人
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耳 耳の下で水枕がプカンプカンと音を立てている。 氷は疾うに解けている。 頭を動かすたびに、なまぬくい水がふなべりを叩く波のように鼓膜に伝わってくる。 熱は下ったらしい。 今から出勤すれば午後の会議に間に合うと判っているが、楠は休むつもりでいる。一年に一日ぐらい欠勤するのも悪くない。無遅刻無欠勤は、ひと昔前なら出世の近道だったが、いまは融通の利かない上役と馬鹿にされたりする。 日向臭い水枕のゴムの匂いを嗅いでいると、五十面下げてなにかに甘ったれたいような、わざと......
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(入院中の爺さんをお見舞いに来て爺さんに怒鳴られて)老婦人は顔を伏せてちぢこまっているが、別にしょんぼりしている様子でもない。四十年も五十年もこの調子でどなりつけられてきて、何も感じなくなっているのだろう。《…略…》 (婆さんが言う)「すみませんねえ。うるさい、きたない年寄りで……」 テーブルの下の棚から、やっと「突き匙」が出てきたときには、吉田老は怒り過ぎたのか、いささかぐったりとしていた。姿勢をしゃんと正さず、半分起きた状態で果物を口に運ぶために、喉仏から鎖骨のあたりに果汁がぼたぼたこぼれ落ちる。婆さんはそれを見て、またしきりに〝きたない〟〝きたない〟と繰り返すのだった。 最初のうち、おれはこの老夫婦の会話をほほえましく聞いていたのだ。昔ながらの封建的だが駄々っ子のような亭主と忍従型の老妻とのやりとりとして。 誤算だった。 婆さんの顔は、押さえきれない喜びに輝いていた。 婆さんは、いまやじっくりと復讐を楽しんでいるのだった。愚鈍を装って、傲慢な夫の神経に、一本一本細い針を突き立てている。ののしられ、婢(はしため)あつかいされ続けたこの半世紀の間、婆さんはじっとこの日を待ち続けて耐えてきたのだろう。いまや、吉田老に残された武器は、どなり慣れた口だけだ。それも所詮は空砲だ。婆さんはいま、案山子の正体を知ったカラスになって、じわじわと一本足の吉田老に近づいていくのだった。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon関連カテ復讐・仕返し・見返す患者・病人・けが人夫婦
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黒い受話器を持つ黒人の腕は、それと 繫 がっているかのように見える。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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