道路が紺のリボンのように一直線にのびる

舗道が昼の緩んだ暑さを残して温かく、汗ばむように湿る

誰かが吐き捨ててアスファルトの表面でぺちゃんこになったガム

雨あがりのせいか、ぱあっと石油色に道が光っている。

アスファルトの広い国道は、ぼおっとした夕暮の河のように心細い眺めだった。

海添いの桜並木、海の上からも、薄紅（あか）い桜がこんもり見えていた。

狭く咽喉のようになった往来

（渋谷）駅前の交差点では大勢の人が行き交っていて、一秒たりとも風景がじっとしていることがない。まるで街が生きているように見える。人間の身体で例えれば、渋谷駅は心臓だ。文化村通りやセンター街など、あちこちに延びた道路は血管で、道行く人たちは血液にあたる。心臓は今日も大量の血液を街の隅々にまで送り出す。

崖のように勾配が急な道

大きな通りを外れて街燈の疎（まば）らな路へ出る。月光は初めてその深祕さで雪の積った風景を照していた。