煙は、 折 釘 のように直角に折れ曲って、折れた先は磁針のように、絶え間なく不安に揺れた。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:19% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
けむり
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......な変形を受けていた。芝居の書き割りのような乾いた空を背景に、川向うの野火の煙は、出発する旧式の機関車が吹き出す蒸気のように、ポッポと断続して騰っていた。丘の上の煙は、折釘のように直角に折れ曲って、折れた先は磁針のように、絶え間なく不安に揺れた。私は無論怖れてはいなかった。 私はこの幻像が眠りの前奏曲をなすものであることを知っていた。そして実際まもなく眠りに落ちた。 物音によって目を覚した。あたりは暗か......
ここに意味を表示
けむりの表現・描写・類語(火・煙・灰のカテゴリ)の一覧 ランダム5
朝の煙が光を透して、紫の羅(うすもの)のように柿の枝にまつわる
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
煙はゆっくりのぼって行ったが天井のまぎわで、おそわれた鶏のようにふいに乱れた。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
煙が松の木の間を、靄のようになびいて昇る
佐多 稲子 / 素足の娘 amazon
このカテゴリを全部見る
「火・煙・灰」カテゴリからランダム5
悪魔の舌のような焔(ほのお)
川端 康成 / 掌の小説 amazon
一帯を万灯会のように盛大な篝火が埋める
真継 伸彦 / 鮫 amazon
焔は飴のように粘っこく燃え上った。
梅崎 春生 / 桜島 amazon
火事がホンの狂言のようにすぐ鎮まる
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
同じカテゴリの表現一覧
火・煙・灰 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ