(慣れないスポーツブラが胸を締めつける)浴衣を着ているような胸の苦しさがうっとうしくて声を出す気にもなれず、私は歌っている振りをして口だけ動かしながら、早く終わらないかなあと思っていた。《…略…》魚のように口をパクパクとさせていると、自分が酸素のない水槽の中を沈んで行くような気持ちになった。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 ページ位置:23% 作品を確認(amazon)
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下着・肌着
思春期
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......て、ホックのブラジャーの女の子は怒ったり、妙に嬉しそうに男子と小突きあったりしていたけれど、まだスポーツタイプのブラジャーで十分な私には関係のないことだった。 浴衣を着ているような胸の苦しさがうっとうしくて声を出す気にもなれず、私は歌っている振りをして口だけ動かしながら、早く終わらないかなあと思っていた。 先生に何度も「声が小さいぞ、真面目にやってるのか!」と叱られ、ついに指揮者の女の子が泣き出してしまった。女の子たちが急に殺気立ち、「大丈夫!?」と指揮者の女の......<中略>......を聞いて、私は急いで視線を指揮者の女の子に戻した。女の子は涙を拭いて、真っ赤な目で再び指揮を始める。 私は再び、口を開けて声を出さずに歌っている振りをし始めた。魚のように口をパクパクとさせていると、自分が酸素のない水槽の中を沈んで行くような気持ちになった。 もう一度理科室のほうを見た。そこはカーテンが閉められていて、もう中は見えなくなっていた。 その日の習字で、なかなか帰ってこない伊吹を探しに行くと、また本棚の前......
単語の意味
胸(むね)
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褌(ふんどし)ひとつの二人の姿は、老いさらばえた二匹の鬼が酒盛りをしているようにみえた。
田宮 虎彦 / 足摺岬 amazon
(新しい下着は)彼女の体を蘇生した皮膚のように包んでいる
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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思春期になって少し心閉ざした子供
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
もう十七歳だと焦る気持ちと、まだ十七歳だと安心する気持ちが交差する
綿矢 りさ / インストール amazon
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ミヨは、生まれたときから、ひよわな赤んぼで、目ばかり大きく、小鳥のひなみたいでした。
小出 正吾 / 天使のとんでいる絵「小出正吾児童文学全集 (3)」に収録 amazon
男の人は、あんまり豊かでもなさそうだったけれど、若者の持つりりしい強さが、あたりを圧していた。
林芙美子 / 新版 放浪記
重い石の下から僅かに頭を持上げた若草のような娘
島崎 藤村 / 新生 (前編) amazon
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死んだ蝙蝠(こうもり)の翼のように黒いショオルを長々と垂れる
川端 康成 / 掌の小説 amazon
蜂の腹のようなだんだらの襯衣(しゃつ)
林 芙美子 / 泣虫小僧 amazon
安っぽいパイル生地のルームウェア
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜
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意志的な大きい口元
宮本百合子 / 伸子
猿のような口つきでりんごをかじる
住井 すゑ / 夜あけ朝あけ amazon
赤児が初めて笑い出す靨(えくぼ)のような、消えやすい笑いだ。
横光 利一 / 微笑 amazon
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