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(牛乳ビンから出られないハエ)飲みっ放しを日なたのなかへ置いておく。すると毎日決まったようにそのなかへはいって出られないやつができた。壜の内側を身体に付著した牛乳を引き摺 りながらのぼって来るのであるが、力のない彼らはどうしても中途で落ちてしまう。
梶井基次郎 / 冬の蠅 ページ位置:13% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......った。そうした外敵からは彼らは安全であったと言えるのである。しかし毎日たいてい二匹宛ほどの彼らがなくなっていった。それはほかでもない。牛乳の壜 である。私は自分の飲みっ放しを日なたのなかへ置いておく。すると毎日決まったようにそのなかへはいって出られないやつができた。壜の内側を身体に付著した牛乳を引き摺 りながらのぼって来るのであるが、力のない彼らはどうしても中途で落ちてしまう。私は時どきそれを眺めていたりしたが、こちらが「もう落ちる時分だ」と思う頃、蠅も「ああ、もう落ちそうだ」というふうに動かなくなる。そして案の定 落ちてしまう。それは......
単語の意味
身体(しんたい)
身体・・・人のからだ。肉体。
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両脚を挙げて腋の下を掻 くような模 ねをしたり手を摩 りあわせたり
梶井基次郎 / 冬の蠅
夢現(ゆめうつつ)のようないらいらしい心を責め苛むように耳につく蚊の唸り声
徳田 秋声 / あらくれ amazon
ひしめく蠅が、漣(さざなみ)が渡るように揺れて動く
大岡 昇平 / 野火 amazon
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蠅がふたたび、彼と女との汗の臭いを慕って、首のまわりを飛びまわりはじめた。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
あぶら蝉 、みんみん蝉、日光山がジイ――ッと啼いているようだ。
吉川英治 / 無宿人国記
鼻のつまったようなみんみん蝉の声
長塚 節 / 土 amazon
吉川英治 / 雲霧閻魔帳
両脚を挙げて腋の下を掻 くような模 ねをしたり手を摩 りあわせたり
梶井基次郎 / 冬の蠅
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万事が齟齬(ぐれはま)の、思うようにならぬ焦燥(もどかし)さは、地鞴(じだんだ)を踏むばかり
二葉亭 四迷 / 其面影 amazon
この時、私は後頭部に打撃を感じた。 痺れた感覚が、 身体 の末端まで 染み通った。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
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おしめのようにブラ下り
小林多喜二 / 蟹工船
きちんと片付いているというわけでもなく、乱雑に汚れているというほどでもなかった。人がここで暮らしていたという跡が、さり気なく残っていた。ベッドのシーツには皺があり、椅子の背にはセーターが脱ぎ捨ててあり、机の上には数字や記号が並んだノートが開いて置いてあった。勉強の途中でちょっと席を立ち、近所にジュースを買いに行ったという感じだった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
思いついた時は面白そうな気がしたが、何日か寝かしてみると怒られる気しかしない。 こうやって僕は自分と誰かの眼の 狭間 で折り合いをつけてなにかをもがれていくのだろうか。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
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