話の先がどこに向かうのかまるで見当がつかない

眠れなくなるほどの深刻な話

話すのに体力が必要な長い話

本気で信じるにはあまりにも馬鹿馬鹿しい話

（話のオチ）結論のない演舌は、デザートのない西洋料理のようなものだ

女の身の上噺（ばなし）というものには、少しも興味を持てないたちで、それは女の語り方の下手なせいか、つまり、話の重点の置き方を間違っているせいなのか、とにかく、自分には、つねに、馬耳東風なのでありました。

せっせとペンを走らせる

墨も黒々と筆太に書いた文字

（優れた文章）その文章は一見したところシンプルで無防備でありながら、細かく読んでいくと、かなり周到に計算され、整えられていることがわかった。書きすぎている部分はひとつもなかったが、それと同時に、必要なことはすべて書かれていた。形容的な表現は切り詰められているものの、描写は的確で色合いが豊かだった。そして何よりもその文章には優れた音調のようなものが感じられた。声に出して読まなくても、読者はそこに深い響きを聞き取ることができた。

口をついて出る言葉言葉がどれもこれも絢爛（けんらん）な色彩に包まれていた。