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温度が急に下がった気がして、俺は夕陽に目をやる。太陽はいつの間にか雲の後ろに沈んでいる。直射から解放されて、光も影も溶け合って、世界の輪郭がぼんやりと柔らかくなっている。空はまだ輝いていて、しかし地上は淡い影にすっぽりと包まれている。ピンク色の間接光が、周囲に満ちている。  そうだ。こういう時間帯の、呼び名があった。黄昏。誰そ彼。彼は誰。人の輪郭がぼやけて、この世ならざるものに出逢う時間。その古い呼び名。俺は呟く。  ──カタワレ時だ。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 ページ位置:75% 作品を確認(amazon)
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夕方
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前後の文章を含んだ引用
......山の上に一人だけで、俺は立ちつくしている。 俺は目を伏せ途方に暮れて、細く長く、息を漏らす。 そよ、と風が吹き、髪がふわりと持ち上がる。汗はすっかり乾いている。温度が急に下がった気がして、俺は夕陽に目をやる。太陽はいつの間にか雲の後ろに沈んでいる。直射から解放されて、光も影も溶け合って、世界の輪郭がぼんやりと柔らかくなっている。空はまだ輝いていて、しかし地上は淡い影にすっぽりと包まれている。ピンク色の間接光が、周囲に満ちている。 そうだ。こういう時間帯の、呼び名があった。黄昏。誰そ彼。彼は誰。人の輪郭がぼやけて、この世ならざるものに出逢う時間。その古い呼び名。俺は呟く。 ──カタワレ時だ。 声が、重なった。 まさか。 雲からゆっくりと目を外して、俺は正面を見る。 そこには、三葉がいた。 まんまるに見開いた瞳で、ぽかんと口を開けて、俺を見ている。 ......
単語の意味
淡い(あわい)
黄昏(たそがれ)
夕日・夕陽(ゆうひ)
淡い・・・味や色や香りなどが薄い。光や形がぼんやりしている。
黄昏・・・1.夕暮れ。夕闇。日が沈んで、月が出るまでの間の薄い暗闇。暗くなって顔の区別ができないので、「誰そ彼(たそかれ)」つまり「お前は誰か」と尋ねるのが由来。
2.ピークの状態を過ぎてだいぶ衰えたころ。
夕日・夕陽・・・夕方の太陽。入り日(いりひ)。
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外に出るといつの間にか夕暮の光があかあかと照り、
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
まだ昼間の光の名残が漂っている。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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