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じょじょにその夕焼けが去っていくとき、何ともわかれがたい気持ちとすがすがしい感謝の気持ちが混じって、切なくなった。  これからの人生に、たとえ今日のような日はあっても、この空の具合、雲の形、空気の色、風の温度、二度とはないのだ。  同じ国に生まれた人々が、夕方の町をのんびりと歩いていく。夕食の明かりがともる窓が、夕闇の透明なスクリーンに浮かびあがる。  そこにあるすべてが、手を伸ばせば水のようにすくえそうだった。つやめいた 滴 がぽたりぽたりとしたたり落ち、コンクリートにはねかえるとき、去ってゆく昼間の陽の 匂いと、濃い夜の匂いの両方をたたえていそうだった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:67% 作品を確認(amazon)
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夕焼け
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前後の文章を含んだ引用
......でぜいたくに迫ってきた。 路地のひとつひとつが、ひとりひとりの人の顔が。赤く照らされては満たされていく、激しい夕焼けだった。 私たちは何も言わずに歩いていた。 じょじょにその夕焼けが去っていくとき、何ともわかれがたい気持ちとすがすがしい感謝の気持ちが混じって、切なくなった。 これからの人生に、たとえ今日のような日はあっても、この空の具合、雲の形、空気の色、風の温度、二度とはないのだ。 同じ国に生まれた人々が、夕方の町をのんびりと歩いていく。夕食の明かりがともる窓が、夕闇の透明なスクリーンに浮かびあがる。 そこにあるすべてが、手を伸ばせば水のようにすくえそうだった。つやめいた滴がぽたりぽたりとしたたり落ち、コンクリートにはねかえるとき、去ってゆく昼間の陽の匂いと、濃い夜の匂いの両方をたたえていそうだった。 あたり前のことを、こんな力を持った夕暮れでも見ない限りなかなかわからない。 私たちは百万の書物を読み、百万の映画を見て、恋人と百万回キスをしてやっと、「今日は......
単語の意味
夕闇(ゆうやみ)
夕焼け(ゆうやけ)
清清しい・清々しい(すがすがしい)
夕闇・・・日が沈んで、月が出るまでの間の薄い暗闇。夕方、月がなくて暗いこと。
夕焼け・・・大陽が沈む時、西の空が赤く染まったように見えること。太陽の光が、昼間より長い距離、空中を通って来るため、波長の短い青色の光は散乱し、波長の長い赤色や黄色の光だけが、地上に到達することで起こる現象。
清清しい・清々しい・・・1.爽やかで気持ちがいい。さっぱりしている。
2.ためらいがない。思い切りがいい。
3.物事が滞りなく進む。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
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遥か東南の雨もよいの夕空が一面、加賀の赤梅いろのように染まった
岡本 かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集〈4〉 (ちくま文庫)」に収録 amazon
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黎明れいめい の薄い光が射し込む
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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