朝晩はすっかり冷え込むようになったこの時期に、胸元や腕や足を露出したデザインのワンピースとハイヒールという格好で、アカシア商店街を闊歩する夏美さんは、さながら、田舎町を映画のロケのために訪れた女優のように見えました。

美人なるものは、顔立ちが画一的という平均的

母の顔は、友達に自慢の出来る具合のわかりやすい美人で

足元にも寄れないほどの大人の女の魅力がある

飢えと好奇の目には、あざやかに美（い）い女（おんな）

（幼児になった睦子）色の白い──目が、いや口も鼻も耳も、なにもかもが睦子の精巧な人形のように小さくて可愛らしくて、こわれてしまいそうに見えた。

貞女烈婦という概念に帯をしめたり、ストッキングをはかせたりしたような女性

美人というよりは、美青年といったほうがいいくらいの固い感じのひと

艶々（つやつや）した丸髷（まるまげ）。切れ目の長い一重（ひとえ）まぶた。ほんのりした肉づきのいい頬。丸い腮（あご）から恰好のいい首すじへかけて透きとおるように白い……それが水色の着物に同じ色の羽織を着て黒い帯を締めて魂のない人形のように美しく気高く見えた。

女ざかりの艶かしさ