美しい声だった。葉子は、今まで、これほど切 な情をこめて自分の名を呼ばれた事はないようにさえ思った。「葉子」という名にきわ立って伝奇的な色彩が添えられたようにも聞こえた。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:83% 作品を確認(青空文庫)
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気持ちを込める
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......案じ求めているらしかったが、とうとう涙に潤った低い声で、もう一度、 「葉子さん」 と愛するものの名を呼んだ。それは先ほど呼ばれた時のそれに比べると、聞き違えるほど美しい声だった。葉子は、今まで、これほど切 な情をこめて自分の名を呼ばれた事はないようにさえ思った。「葉子」という名にきわ立って伝奇的な色彩が添えられたようにも聞こえた。で、葉子はわざと木村と握り合わせた手に力をこめて、さらになんとか言葉をつがせてみたくなった。その目も木村の口びるに励ましを与えていた。木村は急に弁力を回復して、......
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(気持ちを込めて言う)「よかったね。」 と私は言った。その発音の深さは歌手である彼女にはきっと伝わっただろう。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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ここは木賃宿の屋根裏です 私は堆積 された旅愁をつかんで 飄々 と風に吹かれていた。
林芙美子 / 新版 放浪記
俊郎はもはや母親より自分のほうが社会的な分別をわきまえていると信じ込んでいる節があって、尋恵が何かを諭そうとしても素直には耳を傾けなくなっている。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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