普段はほのかな虹色に輝く鮭の腹が、産卵期には緋鯉のように真っ赤になる

めだかの目はね、青いランプがもえているみたいに光るんだよ

（鯉は）あたかも王者のごとく泳ぎまわっていたのである。

清らかな小川を鱒が踊るように泳いでゆく

待ち針みたいに小さな魚が群れになって泳いでいる

差し込む薄日に短い鰭と尾を忙しく動かすと薄墨の肌からあたたかい金爛の光が眼を射て、不恰好なほどにも丸く肥えて愛くるしい魚の胴が遅々として進む。

まるで大きなオパールを嵌（は）めこんだような（蝶貝）

いくつも鮒（ふな）が泳ぎ流れて来て、新茶のような青い水の中に尾鰭（おひれ）を閃めかしては、杭根（くね）の苔を食（は）んで、また流れ去って行く。

綿菓子のようにふくらんで、風にのってながされている金魚もあった。

（オスのカジカガエルが）水の上を雌に求め寄ってゆく、それは人間の子供が母親を見つけて甘え泣きに泣きながら駆（か）け寄って行くときと少しも変ったことはない。「ギョ・ギョ・ギョ・ギョ」と鳴きながら泳いで行くのである。