整いすぎた目鼻立ちが冷え冷えとした印象を与えるほどの美貌

小柄な、手足の動かし方に猫（ねこ）のような敏捷（びんしょう）さがある、中肉（ちゅうにく）の、二十五六の女である。顔は、恐ろしい野性と異常な美しさとが、一つになったとでもいうのであろう。狭い額とゆたかな頬（ほお）と、あざやかな歯とみだらなくちびると、鋭い目と鷹揚（おうよう）な眉（まゆ）と、――すべて、一つになり得そうもないものが、不思議にも一つになって、しかもそこに、爪（つめ）ばかりの無理もない。

蠱惑的な美貌

ひとりがすれ違いざまに、 「きれいやなァ」 　と叫んだ。すると別の男が、 「さくらんぼみたいや」 　と奇声をあげて振り向いた。

横顔の美しい子で、高めの鼻梁も、ゆったり微笑む唇も、彫刻すればどこかの外国のコインになりそうな精巧な仕上がり。特に顎から首までは、すがすがしく清廉、少年のように引き締まった完璧なラインを描く。

つんけんした面がまえ

三色版の夕焼け空のような頬化粧

丸みのある顔を顎から絞り上げたような顔つき

ホオズキのように赤い顔

如何にも元気のない風で夜のせいか顔色も青白く見えた。