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湯浴みをしない皮膚は、臭くって、かさかさして、自分の身体みたいな気がしない。それが自分の物かと、獣じみた姿を考える
吉川英治 / 雲霧閻魔帳 ページ位置:12% 作品を確認(青空文庫)
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不潔な人
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前後の文章を含んだ引用
......は、役目の時刻を呶鳴ってから後でまた、低い、べつな声で、牢格子へ、 「――お寝み――」  といった。  雲霧は、薄っぺらなわらぶとんへ、ごろんと、横になった。二十日も、湯浴みをしない皮膚は、臭くって、かさかさして、自分の身体みたいな気がしない。それが自分の物かと、獣じみた姿を考えると、早くこんな腐れ損いは、小塚ッ原で火焙ひあぶりにして貰ったら、定めし、さっぱりするだろうと思った。  横になるまでは、眠くって眠くって堪らなかったが、木枕を、首にあて......
単語の意味
身体(しんたい)
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵(すがた)
湯浴み(ゆあみ)
身体・・・人のからだ。肉体。
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵・・・1.身体の形。からだつき。人のからだの格好。衣服をつけた外見のようす。
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
湯浴み・・・1.風呂に入ること。「入浴」を上品にかっこよく言った言葉。
2.温泉に入って病気などを治すこと。湯治(とうじ)。
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(女に対して堂々としている、女心をわかっている)かの女は、むす子が頑是ない時分から、かの女の有りあまる、担い切れぬ悩みも、嘆きも、悲しみも、恥さえも、たった一人のむす子に注ぎ入れた。判っても、判らなくても、ついほかの誰にも云えない女性の嘆きを、いつかむす子に注ぎ入れた。《…略…》稚純な母の女心のあらゆるものを吹き込まれた、このベビー・レコードは、恐らく、余白のないほど女心の痛みを刻み込まれて飽和してしまったのではあるまいか。この二十歳そこらの青年は、人の一生も二生もかかって経験する女の愛と憎みとに焼けただらされ、大概の女の持つ範囲の感情やトリックには、不感性になったのではあるまいか。そう云えば、むす子の女性に対する「怖いもの知らず」の振舞いの中には、女性の何もかもを呑み込んでいて、それをいたわる心と、あきらめ果てた白々しさがある。そして、この白々しさこそ、母なるかの女が半生を嘆きつくして知り得た白々しさである。その白々しさは、世の中の女という女が、率直に突き進めば進むほど、きっと行き当る人情の外れに垂れている幕である。冷く素気なく寂しさ身にみる幕である。死よりも意識があるだけに、なお寂しい肌触りの幕である。女は、いやしくも女に生れ合せたものは、愛をいのちとするものは、本能的に知っている。いつか一度は、世界のどこかで、めぐり合う幕である。むす子の白々しさに多くの女が無力になって幾分へつらい懐しむのには、こういう秘密な魔力がむす子にひそんでいるからではあるまいか。そしてこの魔力を持つ人間は、女をいとしみ従える事は出来る。しかし、恋に酔うことは出来ない。あわれなわが子よ。
岡本かの子 / 母子叙情関連カテ異性にモテる人女心
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