竜一郎には世界中にたくさん友達がいて、高知にまでいて、私もそのうちの一人なのかと思うと、みぞおちがきゅうと痛むような感じがする。差し替えのきく一枚のカードや、移りゆく日々の風景のひとつ、遠くで思いだす 憧れ、真冬に思い描く真夏の海辺、そういうものにすぎない。 そのことをすこしさみしく思う。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:73% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......しないか? いっしょに帰ろうよ。」「うん。私たちも急がないから。」 私は言った。離れていると思い出しもしないくせに、いっしょに帰ると思うとわくわくした。 しかし竜一郎には世界中にたくさん友達がいて、高知にまでいて、私もそのうちの一人なのかと思うと、みぞおちがきゅうと痛むような感じがする。差し替えのきく一枚のカードや、移りゆく日々の風景のひとつ、遠くで思いだす憧れ、真冬に思い描く真夏の海辺、そういうものにすぎない。 そのことをすこしさみしく思う。「竜ちゃん、どこに行ってたの?」 弟がたずねた。「ここんとこずっと、ハワイにいたんだ。ハワイと、その後サイパンにね。友達がダイビングの店とかいろいろやってて、手......
単語の意味
真夏(まなつ)
真冬(まふゆ)
風景(ふうけい)
鳩尾(みぞおち)
真夏・・・夏の一番暑いころ。夏の盛り。
真冬・・・冬の真っ最中。冬、一番寒い時期。
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
鳩尾・・・人間の胸の中央にある、へこんだ所。「飲んだ水が落ちるところ」という意味の「水落ち(みずおち)」が変化したもの。形が鳩の尾に似ているため「鳩尾」の字が使われている。胸元(むなもと)。心窩(しんか・しんわ)。水月(すいげつ)。
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娘たちの仲間は《…略…》その日その日の吹く風につれて、舗道にこぼれあつまっては、また散ってゆく柳の葉っぱのように、顔をあわせて、一緒に遊んでは、つぎの日はまた知らぬ顔の、そんなものとはちがっている。
田村 泰次郎 / 肉体の門 amazon
交友は長く深く、たがいに、 「切っても切れぬ……」 間柄
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 amazon
男の友人は西洋のお酒のように、月日がたてばたつ程まったりとした味の出てくるものである
森田 たま / もめん随筆 amazon
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私は孤独であった。恐ろしいほど、孤独であった。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
一人でいると張合いがない
林芙美子 / 新版 放浪記
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まるで偽物のブランド品を自分が身につけているような、そんなやましい気にさせられる
吉田修一「悪人」に収録 amazon
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