(タクラマカン砂漠)あそこの砂はパウダー状で軽くて実体がなくて、それがもう四方八方見渡す限りどこまでも広がってる。自分の身体なんてあっという間に砂に同化して風に飛ばされてしまいそうな気がするんだ。あの砂漠では誰でも死について考えてしまう。というより、皮膚がひりひりするくらいに直接死を感じてしまうんだ。絶対零度の孤独って吐き気にちょっと似てるよね――
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:40% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
砂漠・砂丘
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......促すように水島を見る。「知ってる? タクラマカン、現地語ではタッキリ・マカンて言うらしいんだけど、無限の死滅とか、出口のないところ、というような意味なんだって。あそこの砂はパウダー状で軽くて実体がなくて、それがもう四方八方見渡す限りどこまでも広がってる。自分の身体なんてあっという間に砂に同化して風に飛ばされてしまいそうな気がするんだ。あの砂漠では誰でも死について考えてしまう。というより、皮膚がひりひりするくらいに直接死を感じてしまうんだ。絶対零度の孤独って吐き気にちょっと似てるよね――」 言葉を切って、静かな手つきで十和子のグラスを満たす。注がれた液体の表面に、天井灯のきらめきが小さく揺れている。「ウイグル地方には砂漠の周辺に赤茶けた岩山が多......
単語の意味
絶対零度(ぜったいれいど)
身体(しんたい)
絶対零度・・・摂氏マイナス273℃のこと。ものの温度は、分子が揺れ動く速度に比例して高くなるが、摂氏マイナス273℃になるとすべてのものの分子は完全に停止する。よって、すべてものはこれ以上冷たくなることはできない。絶対零度以下の温度はこの世に存在しない。
単位は、考案した人の名前から、K(ケルビン)であらわす。(0 K = -273℃)
単位は、考案した人の名前から、K(ケルビン)であらわす。(0 K = -273℃)
身体・・・人のからだ。肉体。
ここに意味を表示
砂漠・砂丘の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
広大な、赤とも白ともつかない地面が延々と広がる
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
地平線さえ定まらない砂漠のひろがり
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
砂嵐の吹き荒れる地方に暮らす住民たちは男女を問わず鼻毛が濃い
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
乾いた砂が長靴のくるぶしまでを 捉えて、自由がきかなかった。
浅田次郎 / ラブ・レター「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「地上・陸地」カテゴリからランダム5
岡本かの子 / 母子叙情
同じカテゴリの表現一覧
地上・陸地 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ