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(パリの場末の酒場にて聴衆が嘆きの歌に共感する)はげしい自棄の嘆きが荒く飛んで聴衆はほとんど腸を露出するまでに彼女の唄の句切りに切りさいなまれると、其処に抉出 される人々の心のうずきはうら寂びた巴里の裏街の割栗石の上へ引き廻され、恥かしめられ、おもちゃにされる。だが「幸福 」だといって朱い唇でヒステリカルに笑いもする。そして最後はあまくしなやかに唄い和 めてくれるのだ。ダミアの唄は嬲 殺しと按撫 とを一つにしたようなものなのだ。
岡本かの子 / 巴里の唄うたい ページ位置:87% 作品を確認(青空文庫)
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共感・同感・同調
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前後の文章を含んだ引用
......る。死と戯れの凄惨である。暗い場末の横町がそこに哀しくなすり出される。燐花のように無気味な青い瓦斯の洩れ灯が投げられる。凍る深夜の白い息吐 きが――そしてたちまちはげしい自棄の嘆きが荒く飛んで聴衆はほとんど腸を露出するまでに彼女の唄の句切りに切りさいなまれると、其処に抉出 される人々の心のうずきはうら寂びた巴里の裏街の割栗石の上へ引き廻され、恥かしめられ、おもちゃにされる。だが「幸福 」だといって朱い唇でヒステリカルに笑いもする。そして最後はあまくしなやかに唄い和 めてくれるのだ。ダミアの唄は嬲 殺しと按撫 とを一つにしたようなものなのだ。 彼女はもちろん巴里の芸人の大立物だ。しかし彼女の芸質がルンペン性を通じて人間を把握しているものだけに彼女の顧客の範囲は割合に狭い。狭いが深い。 ミスタンゲット......
単語の意味
腸(わた)
苛まれる(さいなまれる)
自棄(やけ)
嘆く・慟く・歎く(なげく)
按撫(あんぶ)
腸・・・内臓のこと。はらわた。
苛まれる・・・肉体や心をとても苦しめられる。
自棄・・・物事が思い通りに行かなくて、先のことも考えずにどうにでもなれという気持ちで無責任な行動を取ること。また、そのさま。やけくそ。
嘆く・慟く・歎く・・・1.悲しみやの怒りの気持ちを強くあらわす。ひどく悲しむ。悲しんで泣く。
2.満たされない思いにため息をつく。嘆息(たんそく)する。
3.世の風潮などに心を痛めて憤る。慨嘆(がいたん)する。
4.心から切に願う。願う。強く望む。躍起(やっき)になる。
2.満たされない思いにため息をつく。嘆息(たんそく)する。
3.世の風潮などに心を痛めて憤る。慨嘆(がいたん)する。
4.心から切に願う。願う。強く望む。躍起(やっき)になる。
按撫・・・撫(な)でていたわる。
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インクに浸された紙のように、みるみる同じ気持ちが皆の気持ちの隅から隅まで浸してゆく
小林 多喜二 / 蟹工船 一九二八・三・一五 amazon
倉地も葉子の心持ちは刺青 をされるように自分の胸に感じて行く
有島武郎 / 或る女
ことがあっても自分からはすぐに白黒を言わず、まわりの意見が 出揃ったところでゆっくり考えてから、誰かに同調した。
向田邦子 / 男眉「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
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