アパートの近くを高速道路が走っていて、そこを往来する深夜トラックの押しつぶされたような扁平なタイヤ音が、薄い窓ガラスの向こうから部屋の空気をかすかに揺らせ、何人かの男女の寝息と軽いいびきがそれに入り混じっていた
村上春樹 / 回転木馬のデッドヒート(今は亡き王女のために) 作品を確認(amazon)
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就寝前に聞こえる音
高速道路・有料道路
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単語の意味
扁平(へんぺい)
往来(おうらい)
寝息(ねいき)
深夜(しんや)
扁平・・・デコボコが少なく、平らなさま。
往来・・・1.行き来(いきき)。行ったり来たりすること。
2.道路。通り。
2.道路。通り。
寝息・・・眠っているときの息(=呼吸)。また、その音。
深夜・・・真夜中。夜更け。深更(しんこう)。
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就寝前に聞こえる音の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
頭まですっぽり蒲団をかぶって目を見開いていた。屋根の雪が少し滑り落ちていった。誰かの足音が路地から川べりへと移っていき、やがて聞こえなくなった。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
生まれた家では、夜おそくよく汽笛が響いてきた。天井板のこみいった木目に怯えて、寝付かれない子どもの耳に、それが騒音というにはあまりにもか細い、なにか優しい未知の華やかさのように聞こえてきた。ちょうどそれは、おもいがけない遠くでさざめいている都の夜のようなものである。
三島由紀夫 / 花ざかりの森 amazon
私は風邪をひいた時の小さな子供のように、みんなの声をぼんやりと幸福に聞いていた。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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高速道路・有料道路の表現・描写・類語(道・道路のカテゴリ)の一覧 ランダム5
田園地帯を蝶結びするような高速の高架
吉田修一「悪人」に収録 amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
(不鮮明な声)その声はどこか遠い場所から、どこか遠い時間からやってきたようだった。声に聞き覚えはない。いくつもの曲がり角を曲がってきたせいで、それは本来の音色や特性を失っていた。残されているのは意味を剥ぎ取られた虚ろな反響に過ぎない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
空気の音がジーンと地虫のように聞こえる静寂
藤本 義一 / やさぐれ刑事 amazon
その一言が暗がりの中にくっきりと映し出されるように聞こえ
小川 洋子 / 一つの歌を分け合う「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
「睡眠・眠る・寝る」カテゴリからランダム5
釘抜きで挟まれたように眠くなった。
石坂 洋次郎 / 石中先生行状記 amazon
まるで息をしていないように眠っていた。
庄野 潤三 / 静物 amazon
「道・道路」カテゴリからランダム5
舗道が昼の緩んだ暑さを残して温かく、汗ばむように湿る
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
吊橋を渡ったところから径は杉林のなかへ入ってゆく。杉の梢 が日を遮 り、この径にはいつも冷たい湿っぽさがあった。ゴチック建築のなかを辿 ってゆくときのような、犇 ひしと迫って来る静寂と孤独とが感じられた。
梶井基次郎 / 筧の話
延々何百哩 の鉄道は、長蛇の如く野を走り、山を貫き
小林多喜二 / 蟹工船
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