こうこうと店の明かりは路地を照らしていた。

お伽噺に出てくる魔の城のような煉瓦の建物

（目的の）店が入店している年季の入った雑居ビルは東新宿の奥まった路地にひっそりと佇んでいる。大通りに出るとあれほど人間でごった返しているのにここだけは人を寄せつけない磁場のようだ。人通りがほとんどない。

金閣そのものも、時間の海をわたってきた美しい船のように思われた。

向こうに見える横に長い建物は、学校か工場だと思う

店は、四谷三丁目駅から歩いてすぐで、細い路地が入り組む古い飲食店街にあった。

大きく左手に曲がった川に抱きかかえられるようにして建っている

アパート群の配置は、整図のように美しい。

古い住宅地の中にあり、ブロック塀をめぐらせた七十坪ほどの二階家だった。東側に四 米メートル 道路。玄関は東南。

〈雑音堂〉は比較的新しいタイル張りマンションの一階にテナントとして入っていた。

崩れかけた下宿

六年前と比べ、全体の雰囲気はたいして変わっていなかった。

高速道路沿いの建物はどれも醜く、自動車の排気ガスに薄黒く汚れ、いたるところに派手ばでしい広告看板が掲げられていた。

個人住宅とはとても思えないほどの豪邸

団地の碁盤の目状の窓々から明かりがまばらに漏れている

滝のようにまっすぐに流れる黒髪

広い家には私は女中と二人で気抜けしたように呆んやりしている

（とうもろこしは）几帳面な性格である。 　とうもろこしの粒は、縦一列に整然と、まっすぐに並んでいる。 　しかも、一分の隙間もなく、誠実に芯の表面を覆いつくしている。 　昔のとうもろこしは、ところどころに空き地があったが、最近のは例外なくびっしりと隙間なく並んでいる。 　その過密性は建売住宅を思わせる。 　土地の有効利用を考えなくてはならない時代性を、とうもろこしなりに考えているのかもしれない。

港に舫（もや）った無数の廻船（かいせん）のように、ただぎっしりと建て詰（こ）んだ家

寝返りもできないほど低い