椅子の中に深く沈みこみ

渚では逆巻く濃藍色の背景の上で、子供が二人湯気の立った芋を持って紙屑のように坐っていた。

にこりともしないその表情は、椅子の背にもたれかかった態度と相俟って、どこかこちらを見下しているように見える。

調理台の横におあずけをさせられた犬のように坐った。

（座って移動）椅子の座るところの裏を両手で持ち、お尻につけたまま、かたつむりのようにして彼の近くへ行き

馬のようにおとなしく立っている

おい、橋本、なんやそんなとこにぼーっとつったってやがって、夜明けのガス燈みたいに。

私は頭の下に両手を入れると、死ぬる空想をしていた。

化粧台の前の椅子にもたれて

（午後の穏やかな日差しが射す部屋で、）長椅子の上に横たわった。 　彼女の両手は組合わされて頭の下にあった。その下にクッションがかさなって柔かく心持よく押しつけられている。肱かけの部分が高いので、長椅子は彼女の眼のところに程よい陰翳を与えた。暖かい……室内は絶対に物音せず、わずかに、開いた窓から気にならない程度に市街のどよめきが流れて来る……神経を撫で和らげられるので、伸子は眠いようになった。