胃を固く締めつけるような不安の念

この心配に濃い色が加わり、いつも何となく肩が重い。明日はだらだらと今日の続きで、先のことを考えても楽しくない。

愁雲

憂心を抱く

取り越し苦労

不安の前には妙に嘔気（はきけ）が来る。嘔くものもない妙な不安な状態。

おおいようもない終末感が暗い夕闇のように胸にしずみこむ

諦めがつくはずはなく、いくらでもそれは苦痛を増していく

最悪の想像とそれを打ち消す考えとが目まぐるしく去来し、彼を消耗させた。

浪のように不安が揺れはじめた。

恐怖と不安とが、まるで突然天からまいおりてくる鳥のように、ひょいと彼のうちにやってくる

いらいらとあてもなく燃えさかる石炭の火のような熱と不安

不安な目つき

手が震える。必死にイアフォンのコードを引っ張り耳に突っ込む。麻薬中毒がドラッグを求める姿と似ていた。不安感が自分を押し潰す前に、クスリを投与しなくてはいけない。クスリは耳から注入する。ウォークマンの再生ボタンを押した。 　病院の名は、「ビートルズ」だ。この場合の薬剤師はきっと、「ジョージ・ハリスン」で、薬の名前は、「HERE COMES THE SUN」だった。 　ボリュームを上げ目を閉じ、じっと聴く。「It's All Right」と繰り返される。豊田はそれを自分の中で何度も繰り返した。「大丈夫だ。大丈夫だ。It's All Right」と繰り返し、不安感を取り除いていく。二回同じ曲を聴く。

顔を一瞬不安げな影が掠める

貧困の脅威は曇天のように信輔の心を圧しはじめた。

心の中の拭き切れぬ影が雨雲のようにひろがる

ぐらつく椅子に座っているように心許ない

飯粒のなかに小石を噛みこんだようで、ためらいがある

宙に浮いているような心もとない気分

心が蒼白になる

心が一本の糸のように痩せていく

何か自分が理由の分らない詰問でも受けているように窮屈を感じた。

恐ろしがる

鮑（あわび）の身のように体じゅうを引き締めて硬くなる