蚤（のみ）の食ったようにむず痒（がゆ）い。

嬉しいのだろう。ほほの辺りが微笑むようにむず痒くなってくる。

痒いので足をバタバタさせる

繃帯の内側が痒くなって、どうにも始末がつかなくなって来た。うえから引っ掻けば、益かゆくなる計りだし、その部分を捻ったり揉んだりするのも間接で、何の効き目もなかった。拳固をかためて、繃帯の上から頭を殴りつけ、まだ駄目なので、ふらふらと立ち上がって、床柱の角に、自分の頭をどしんどしんとぶつけた。

一点に集中するかゆみを首のところに感じる

針の間に坐っているよう

急に、差し込むような下腹部の痛み

綿くずを胃の中に押し込まれたように気持ちが悪い

全身が気だるく足や腰が自分のものではないよう

猛烈な痒さだ。痛さと紙一重の刺激が、神経をびりびり震わせる。