もし自分が美貌だったとしても、それは謂 わば邪淫の美貌だったに違いありませんが、その検事の顔は、正しい美貌、とでも言いたいような、聡明な静謐 の気配を持っていました
太宰治 / 人間失格 ページ位置:51% 作品を確認(青空文庫)
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美しい顔
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前後の文章を含んだ引用
......たった一つ、冷汗三斗の、生涯わすれられぬ悲惨なしくじりがあったのです。自分は、検事局の薄暗い一室で、検事の簡単な取調べを受けました。検事は四十歳前後の物静かな、(もし自分が美貌だったとしても、それは謂 わば邪淫の美貌だったに違いありませんが、その検事の顔は、正しい美貌、とでも言いたいような、聡明な静謐 の気配を持っていました)コセコセしない人柄のようでしたので、自分も全く警戒せず、ぼんやり陳述していたのですが、突然、れいの咳が出て来て、自分は袂からハンケチを出し、ふとその血を見て、......
単語の意味
聡明(そうめい)
美貌(びぼう)
聡明・・・耳や目が普通よりもはるかに優秀なこと。理解力や判断力がすぐれていること。頭の回転が速いこと。または、そのさま。
美貌・・・美しい容貌。美しい顔かたち。「貌」は、訓読みで「かお」「かたち」と読める。
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整いすぎた目鼻立ちが冷え冷えとした印象を与えるほどの美貌
久間 十義 / ヤポニカ・タペストリー amazon
眼は細いけれども芸者にしてみたいような美人
林芙美子 / 新版 放浪記
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(厚化粧)この店の照明の暗さでも、一目で化粧品の美容部員だと分かりました
綿矢 りさ / 亜美ちゃんは美人「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
城館の白い壁が疲れ果てた眼にうつる。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
太い 眉 と 唇 のあいだに細い目が押し込められているといったふうな顔立ち
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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