無性に腹が立つ

ぷいっとする

不機嫌（ふきげん）に、急にだまり合ったまま

気色ばむ

気に障る

彼は決して無愛想というわけではなく、誰かに話しかけられればきちんとそれに答えたし、物のいいようもしっかりとしていた。そうなろうと思えば──いくぶんのぎごちなさは感じられるにせよ──愛想良くなることもできた。しかし原則としては、彼は無口で孤独そうな老人だった。彼は子供たちのことが好きらしく、子供たちが来るとつとめて親切に振舞おうとしたが、子供たちの方はこの老人に対してあまり気を許そうとはしなかった。

重い口がほぐれ、ぽつんぽつんと生いたちをしゃべる

口を貝のように閉ざして何も言わない

古藤の言葉はしまいまで奥歯に物のはさまったように重かった。

無口な、無感情な、石のような性格

悪感情を抱く

やけを起こす

鬱憤を晴らす

ぶうぶう言う

僕にしては非常に珍しいことだけれど、だんだん、腹が立ってきた。「十八歳、五月、腹を立てる」と自分史に刻んでもいいくらいに、珍しいことだ。

オレンジ色のテーブルクロス、観葉植物の鉢、椅子が四脚、オレンジ・ジュース、テーブルの上の新聞、ステンレス・スチールのティー・ポット……全てがきちんと配置され、そしてしみひとつない。

でも老けたのではなく、春には産毛の生えたきれいな黄緑色だった若葉が、夏になって濃い緑のかたい葉っぱに変わるのに似た変化だった。大人になったのだ。

ひまわりのような向上心

性格は大昔の農夫のように穏やかで気がやさしい

大人になると、感情が鈍り人生が色あせて見える。