数秒が過ぎ、さらに数秒が過ぎ、陣治は瞬きもしない。一度だけ喉の奥から、クウウゥッ、と妙な音が聞こえる。 耐え切れなくなって、十和子の方が声をあげかけた
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:77% 作品を確認(amazon)
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気まずい
黙る・沈黙
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前後の文章を含んだ引用
......らふらと歩いてきたあの不吉な亡者だ。深いしわの刻まれた額の下、窪んだ眼窩の奥に、誰も住んでいない部屋のような闇がひろがっている。 十和子はうなじを硬直させる。 数秒が過ぎ、さらに数秒が過ぎ、陣治は瞬きもしない。一度だけ喉の奥から、クウウゥッ、と妙な音が聞こえる。 耐え切れなくなって、十和子の方が声をあげかけたとき、目の前の亡者がヒクッと蘇生する。息を吐く。椅子の背に力なくもたれかかる。テーブルの端をつかんでいた両手をゆっくり裏返すと、それがまだ使いものになるかどうか......
単語の意味
妙(みょう)
妙・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
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羊男は黙った。彼からそれ以上の言葉を引き出すのは不可能であるように思えた。
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石のように無言のまま
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ピシリと音がしそうな言い方
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低く響く声──それも、声質というより、発声の仕方のせいで。「……どこか、遠い場所に連れて行ってくれるような、そう促されて、そっと手を引かれているような。」
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