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震えが意味をなさない声となって、口からこぼれ出た。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:19% 作品を確認(amazon)
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声が震える・震えた声 戦慄・恐怖で震える
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......あるいは何秒という時間もなかったのかもしれない……とにかく、その空白のような時間に、雪見は自分の身体ごとを投げ出していた。夢中でまどかを抱き抱えた。間に合った。震えが意味をなさない声となって、口からこぼれ出た。 獣の息遣いが背後に迫っている。向き合うのは危ない。自分の背中を盾にするしかない。 次の瞬間、雪見の太腿に荒々しい唸り声が絡まり、鋭い痛みが神経を走った。 雪見......
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(開けてはいけないと感じる不吉なガラスビンを前にして起こる恐怖と好奇心の葛藤)息を詰めたまま金属製のねじ蓋に手をかける。蓋は強く締まっている。このおかしな感じ、まるでガラス壜ではない何かをこじ開けて、口で言えないほど不吉なものを解き放とうとしているような感じはどこからくるのだろう?  フレテハイケナイ――カンガエテハイケナイ――。  声がまた聞こえる。頭のなかではなく、天井のあたりから降ってくる気がする。キョトキョトと周囲を見回す。部屋の空気が重く脈打っている。ベッドも衣類も壁もどくんどくんと脈打っている。蓋にかけた手が震える。震えが背筋を伝い、正座したまま上半身が他愛なく揺れる。《…略…》頭のなかにも部屋のなかにも動悸が響き渡る。嵐のようなその音のほか何も聞こえなくなる。まるで自分自身の心臓の内部にいるみたいだ。視界全体が拍動する。どくんどくんと叫ぶ。イケナイ、イケナイ、イケナイ、イケナイと叫ぶ。頭が割れる! 壜から手を離し、両側から強く 頭蓋 を挟みつける。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon関連カテ胸騒ぎ・嫌な予感好奇心・興味を示す動悸・胸がドキドキ・心拍数が上がる
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