(調律の基準音となるラの音)「透きとおった、水しぶきみたいな音でしたね」
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 ページ位置:94% 作品を確認(amazon)
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ピアノ・鍵盤楽器
音
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......ったのだけど、音の伸びる方向にすうっと景色が開けるのが見えた。銀色に澄んだ森に、道が伸びていくような音。そのずっと奥で、若いエゾシカが跳ねるのが見えた気がした。「透きとおった、水しぶきみたいな音でしたね」 由仁がうれしそうに僕を見上げる。うなずきながらも、人によって音に呼び覚まされるイメージは違うのだとあらためて思う。「この音を基準にして、全体の音色をつくったつ......
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ピアノ・鍵盤楽器の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(ピアノの)音色の細緻な階音に、まるで栗色の落葉でもふるような哀愁を感じた。
林 芙美子 / 市立女学校「林芙美子作品集〈第2巻〉清貧の書 (1956年)」に収録 amazon
(ピアノの音)私は目を閉じ、耳を傾け、みどりの海底にいるようだと思った。
吉本ばなな / 哀しい予感 amazon
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(音色)「平べったい音が、丸くなった感じ」 それを聞いて、ようやく理解した。弛緩していた音が、水滴のようにきゅっと丸くなった、ということらしい。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
無人の会場に、丸裸のA音が放たれ、壁の内側でやがて完全に消失する。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
それを音と言い切ってしまっていいのかどうか、わたしには自信がない。もしかしたら、震動、流れ、疼き、といった言葉の方がぴったりしているのかもしれない。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
その音に関することは、発生源も音色も響き具合も何もかもがあいまいなので、わたしは言葉を失ってしまう。それでも時々、あまりのあいまいさのために心細くなり、何かにたとえてみようと思うことがある。冬の噴水の底に沈んだコインが一粒の水しぶきとぶつかった時つぶやく音、メリーゴーランドから降りた後耳の奥にあるかたつむり管の中でリンパ液が震える音、恋人からの電話が切れた後受話器を握った掌の中を真夜中が通り過ぎてゆく音……。しかし、こんなたとえで一体何人の人が、その音について理解してくれるというのだろう。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
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暗い太鼓のような夜の海鳴りの音
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
旧式のクーラーと換気扇が競うように耳障りな音を立てている
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
落語が聞こえていたが、ラジオは調子が悪く雑音が大きかった。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
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